韓国での報道です。人種差別と憎悪をあおるような発言、運動を止めなければなりません。
[中央日報日本語版]
日本でヘイトスピーチを禁止する法案に対する審議が4日から始まる。 3日、毎日新聞によると、在日コリアンに対するヘイトスピーチが社会問題化したことを受けて外国人に対する人種差別を禁止する法案が4日から参議院で審議入りする。
今回審議される「人種差別撤廃施策推進法案」は人種や民族などの属性を理由にして差別的な取り扱いや言動を禁止することで差別防止のために国や地方自治体に実体把握や相談体制の整備などを求めている。
この法案を提案した有田芳生参院議員(民主)は「ヘイトスピーチを放置すれば、国際的に日本が人権を軽視しているとのレッテルを貼られかねない。修正にも応じるので、与党にも議論に加わってもらいたい」と明らかにしたと同紙は伝えた。
人種差別禁止:審議へ 野党が法案 参院
<毎日新聞>
在日外国人への人種差別を禁止する法律案が、4日に参議院で審議入りする。在日コリアンへのヘイトスピーチが社会問題化したことを受けて議員提案され、人種差別の禁止を明記し、差別防止を国や自治体の責務とうたっている。罰則のない理念法だが、自治体の条例制定を後押しする効果も期待されている。
法案は、民主、社民両党などが5月に参院に提出した「人種差別撤廃施策推進法案」。人種や民族などの属性を理由とする差別的な取り扱いや言動を禁止するとし、差別防止のために国や地方自治体に実態把握や相談体制の整備などを求めている。罰則は設けない。
関係者によると、自民党が法規制に消極的で、一時は審議されるかどうか危ぶまれたが、その後了承に転じた。公明党も審議を了承し、参院法務委員会で4日に趣旨説明、6日に質疑が行われる。提案した「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」幹事長の有田芳生参院議員(民主)は「ヘイトスピーチを放置すれば、国際的に日本が人権を軽視しているとのレッテルを貼られかねない。修正にも応じるので、与党にも議論に加わってもらいたい」と話す。
ヘイトスピーチを巡り国連人権委員会は昨年7月、「差別、敵意、暴力をそそのかすような人種的優位の主張や憎悪をあおる言動」を禁じるよう日本政府に求め、現行法で十分対処できていないとして加害者を処罰する法整備を促した。国連人種差別撤廃委員会も同8月、ヘイトスピーチを行った個人や団体について「捜査を行い、必要なら起訴すべきだ」と勧告。国内では、160を超す地方議会が、法規制などを求める意見書を採択した。
安倍晋三首相は2月の衆院予算委員会で「日本をおとしめる」とヘイトスピーチを批判したが、法規制については「個々の事案を検討する必要があり一概に言うことは困難だ。立法措置は各党の検討や国民的な議論の深まりを踏まえ考えたい」と述べるにとどめた。
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■解説
◇ヘイトスピーチ規制、厚い壁 「表現の自由」侵害懸念も
ヘイトスピーチの法規制を巡っては、現に生存を脅かされる被害者を速やかに救済すべきだとして肯定する声が強い。だが一方で、憲法の保障する「表現の自由」との兼ね合いから、法規制以外の手段を尽くすべきだとの声もある。
「朝鮮人を殺せ、と叫ぶ醜悪なデモに何ら法的規制がない。規制がないから統計がなく、被害者がいないというパラドックスが生まれている」と、金尚均(キム・サンギュン)龍谷大教授(48)は被害者の窮状を訴えている。
京都市の当時の京都朝鮮第一初級学校前で2009年、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らが街宣活動を行った。この時、金さんは児童3人の保護者として学校へ駆けつけた。当時の児童らは今も心の傷を抱え、1人で夜道を歩けなかったり、トイレに行けなかったりする子供もいるという。
この街宣は人種差別撤廃条約の禁じている人種差別だとして、在特会側に約1200万円の賠償を命じる京都地裁判決が確定。在特会関係者は刑事裁判でも有罪判決を受けた。だが、法的な救済や処罰ができたのは被害者が特定され、具体的な損害が立証されたからで、不特定多数への差別的発言それ自体は現行法で規制することができない。
その一方で、多様なヘイトスピーチの中から、何を「規制すべき表現」として切り出すかという判断は、現実には難しい。
それ以上に問題なのは、政府に規制の権限を与えた場合、批判的な言論が狙い撃ちにされかねないことだ。実際、自民党は14年8月、「ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム」の初会合で、国会周辺での街宣活動やデモの規制も議論の対象にするとして批判を浴び、釈明に追われた経緯がある。国民の間で法規制を巡る賛否が割れている現状から、法案の審議は曲折が予想される。【岸達也】
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◇人種差別撤廃施策推進法案 骨子
・特定の人に対し、人種や民族を理由とする差別的な取り扱いや言動をしてはならない
・人種や民族が共通する不特定の人に対し、著しく不安や迷惑を与える目的で、公然と差別的言動をしてはならない
・国と地方自治体は差別防止施策を策定する
・政府は、施策について国会に毎年報告する
・国は、差別実態を明らかにする調査を行う
・有識者でつくる「人種等差別防止政策審議会」を内閣府に置く
・公布から3カ月以内に施行する