【コラム】人民元切り下げとアベノミクス
なかなか、面白い指摘です。
資本主義経済が行き詰まっていることは経済学者の中からも分析、論証する論文がいくつか出ています。また、新自由主義経済がもたらした政治、経済への負の影響はほぼ定説となり、新自由主義が正当性を持つなどというーーー政治、経済学者は少数派となりつつあります。その新自由主義の旗頭としてアメリカ、日本が頑迷に多国籍企業と富裕層利益を最大化させる政治経済体制を取り続けています。
日本経済の最大の問題は、国内消費が活発にならないことです。その要因は、働く労働者の賃金が伸びずに、低迷・低下していることにあります。正規労働は減少し、ほとんどの職種において、非正規労働、派遣労働が中心となる実態があります。全体としての賃金水準低下、所得の減少がある中で消費が活発になることはあり得ません。同時に、安倍、自公政権の政策により軍事と公共事業に予算が偏在するために、年金・社会保障費の切り下げによる将来不安を解消しようと少しばかりの現金を預金化し、消費にまわすことも困難となっています。
日本経済の第二の問題は、重厚長大産業の時代は終了し、国内消費を前提とした、経済産業構造への転換ができない点にあります。そのために、多くの製造業は海外に移転して活路を見出すか、合併による生産設備の削減と市場対応を迫られています。環境保全型産業、電力の再生可能エネルギーへの転換を通じた起業と、雇用の確保、高齢化への対応・医療分野の技術開発、バイオ技術などの活用などなどを産業として育成し、多くの労働者の雇用の受け皿ともしなければなりません。この点では従来型自民党政治では全く対応ができないでいます。理由は、経団連など既存企業の利益擁護のために新たな分野への政策が著しく遅れているのと貧弱だからです。
第三は、大学などの研究に国家予算を振り向けていません。基礎研究、技術開発に優秀な人材と、長期的な研究開発体制を補償しない限り、短期的な利益と技術のみを追っているのでは、将来性のある研究開発などは期待すべくもありません。安倍、自公政権はこの点でも軍国主義教育には関心があっても、本当の意味で重要な基礎研究、大学などの研究機関への予算の割り当てを行っていません。今後50年、100年、150年後の日本の産業構造、研究開発における地位は低下することがあっても上位になることは現状では不可能です。
[中央日報日本語版] 【コラム】人民元切り下げとアベノミクス
日本が変だ。日経株価が18日以降連続して下落傾向だ。わずか1週間で13.4%も下がった。昨日も前日対比で3.96%も下落した。この期間の韓国の株価下落のほぼ3倍だ。株価より一層驚くのは突然の円高現象だ。先週だけでも1ドル=125円台を維持していた為替レートがこの日1ドル=116円台まで進んだ。日本円がこれほど揺れ動くのはよくあることではない。2008年のリーマンショック以降初めてだという。すでに4-6月期の国内総生産(GDP)増加率がマイナス1.6%にとどまっている。内需も足踏み状態だ。4-6月期の消費は前期対比0.6%の減少だった。貿易収支も4カ月連続で赤字を見せている。
◆日中共倒れ論、一部から提起
このような時にチャイナショックが訪れた。韓中日の北東アジア分業が消えて日本が中国と全業種で争う構図で、元安により日本の競争力が落ちるという不安感が造成されている。企業実績が悪化して物価が再び下がり日本を訪れる観光客が減るという悲観論も頭をもたげている。中国と共に崩れかねないという日中共倒れ論も一部から提起されている状況だ。
日本は当初、中国発の危機が訪れれば韓国が最も打撃を受けると見通した。韓国が中国に最も依存している国であるだけに経済危機にも脆弱だという観測だった。一方日本は中国との関連性が韓国よりも減って影響が少ないと判断した。メディアは「不幸中の幸い」だという展望も出していた。
ところが本格的なショックが訪ねてくると日本が韓国よりもはるかにさまよっている様子だ。停滞の本質的な原因が、日本経済の構造的で内生的な問題にあるという指摘が流れ出る。
30カ月前、年間60兆~70兆円の金融緩和をしながら始まったのがアベノミクスだ。日本企業が韓国に遅れをとる状況でこれ以上押されないために大規模な量的緩和をしたのだった。証券市場に投資資金を引き込んで経済を活性化しようとした。金融緩和をしながら過去30年間で最も低い円安状態になり、成長も実現した。安倍首相はアベノミクスの成功を自慢の種にして語った。だが、こうした成長はしっかりした成長ではなかった。ただ企業らに円安効果で利益を出させる構造だった。
◆「アベノミクス失敗」の指摘も
何よりもアベノミクスはゾンビ企業ばかり量産してきた。昨年の日本の上場企業の破産件数はゼロ件だ。アベノミクス以前の中小企業の廃業率は5%を超えたが2年前から2~3%にとどまっている。シャープなど赤字に苦しみながらも企業活動を維持する企業が1つや2つではない。
経営革新も起きなくなっている。産業用ロボットを活用する企業は韓国よりも少ない。規制改革や労働改革もしっかり行われていない。国債だけが増えている。日本銀行は国債保有残額が300兆円を突破したと発表した。円高が本格化すれば、むしろ韓国企業には機会になるかも知れないという懸念が日本から出ている。
今、日本は再び金融政策を使おうとしている。日本財務省が来年度の予想長期金利を2.2%から2.0%に下げたという報道が出てくる。いざという時には追加の量的緩和をするかもしれないという雰囲気だ。このような渦中でトヨタは再び原価低減を叫び、下請け企業から絞り取っている。競争力がある企業が結局、成長を導いている。
オ・チュンホ論説委員・工学博士