「ま」さんは 付き合いだしたころは
布帛のぶかぶかのトランクスを穿いていた。
いつの間にか 気が付くと
ジャージーのぴっちりしたボクサーが定番になっていた。
こないだ、二人で立ち寄ったGAPのセールで
カクレクマノミのようなボーダーのブリーフを発見した。
あまりにもダサく光り輝く印象だったので
<見て見てコレコレ!>的な気持ちで 「ま」さんを呼んだ。
私は自分が面白いと思ったものを 人に示さずにはいられないのだ。
「ま」さんはカクレクマノミパンツを手にとって しげしげと眺めて
納得したように レジに持って行った。
コンビニでカップラーメンを選ぶ時と同じ 迷いのなさだった。
「・・・まさか・・・・買っちゃうの?」
私は 正直、意外だった。
2,3日後、水通しをしたカクレクマノミパンツを うれしそうに
インナーに 穿いて出勤した夫の
背中を見送り
私は複雑な気持ちだった。
つづく