自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

天に声あり、人をして語らしむ

2011-12-21 06:16:55 | ひとり言
クリスマスが近づきました。


イヴに恋人と過ごすという習慣は、日本特有のものである、と最近のテレビでいっていたような・・・・



そもそも、ボクが小さいころはクリスマスは不二家のケーキを食べられる日で、お菓子の入った赤い長靴をもらえる日でした。


大したプレゼントもなく、サンタクロースがどうのこうのはあんまり聞かなかったような気もします。



『サンタクロースっているんでしょうか?』

ニューヨークのサン新聞に寄せられた8歳の女の子からの手紙にこたえる社説です。



「友達がサンタクロースなんて本当はいない」と言っていることを聞いた女の子がお父さんに尋ねます。


「本当にいないのか?」って。


お父さんは、「サン新聞に聞いてごらん。もし、サン新聞がいないっていうなら本当にいないんだろう」


そして、この純粋なそして悩ましい課題に取り組んだ記者が、答える形の社説です。



もう1世紀近く前のものですが、この回答が素晴らしい。


社説は新聞社の方針にのっとって、明確な立場から発信する大事な言葉ですが、この社説は、新聞社という枠を超えて「人間として夢のある、そして現実的な回答」を女の子に寄せているのです。


ボクは何度も、この本をクラスで朗読したことがあります。


言葉の選び方(ボクが読んだのは日本語訳ですが)、丁寧さ、美しさ、そしてその女の子への言葉の持つ温かさ、すべてにおいて感動します。


ボクだったらなんて答えるだろう・・・・



読んでいて涙があふれる体験を何度もしました。


朝日新聞に、匿名でつづられる有名なコラム「天声人語」があります。



このコラムも、社説とは違って見識豊かな言葉がちりばめられていて、ボクは毎朝必ず目を通しています。


この天声人語を「書き写す」習慣まで巷ではあるらしい。


「天の声あり、人をして語らしむ」という中国の古典からの言葉らしいのですが、このサン新聞の記者の名前も死後何年も明かされず、まさに「天の声」。



天の声を思わせる文章の匿名性は、その内容をより奥深くしてくれます。



現代のfacebookは、まさにその反対。


自分が誰であるのかを明確にし、そしてその発言があっという間に広がっていく。


ただその代りいくら言葉の奥深さがあっても、その言葉はあまりにも速い流れでどこかに消えて行ってしまいます。


年末になって、少しだけ自分の時間を立ち止まり、「サン新聞の記者さん」の言葉を読んでみてはいかがでしょう。


自分を取り戻せる素敵な文章です。



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