自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

不条理って何?

2014-05-14 07:03:09 | おもしろかった本
以前から知っていた題名で、だからと言って読もうとも、読みたいとも思わなかった本がいくつかある。


その中の一つ、ベケットの『ゴドーを待ちながら』を読んでみた。


裏書に、「不条理演劇の最高傑作」と書いてある。


大辞林によると、


「不条理とは、筋が通らないこと。道理が立たないこと。またその様」とある。


さらに続いて、哲学では、「人生の非合理で無意味な状況を示す語として、カミュによって用いられた」


物語は、とても単純であり、複雑怪奇。


ヴラジミールと、エストラゴンが、一本の木の下で「ゴドー」なる人物を待っている。


ボクには、そのゴドーが誰で、なんなのかはわからないのだけれど、ともかく彼らは待っている。


エストラゴン「もう行こうよ」


ヴラジミール「ダメだよ」


エストラゴン「なぜさ?」


ヴラジミール「ゴドーを待つんだ」


エストラゴン「ああそうか」


何度このやり取りを繰り返すのだろうというほどに何度も。


ここに、ポッツォと、ポッツォのラッキーという名の奴隷?が登場する。


ラッキーは、首に綱をつながれている。


「筋が通らない」話なので、筋書きの展開はともかく、ラッキーはポッツォに「考えろ」と繰り返し怒鳴られ、その挙句ラッキーが語り始める。


この長い台詞がすごい。


<そもそもこの本は戯曲となっていて、舞台上の演出のようなト書きも書かれているため、ボクは勝手に舞台を想像しながら楽しめるのだけれど>


本の約2ページ半にわたる台詞。


それも、不条理、つまりまったく意味の通らないもの。



句読点の一切ないこの台詞を一気にまくしたてる俳優さんもすごいと思うのだけれども、意味の分からないことが、とてもとてもとてもとても・・・・面白い。


「前提として、ポアソンとワットマンの最近の土木工事によって提起された白い髭の人格的かかかかかみのじかかかんと空間の外における存在を認めるならばその神的無感覚その神的無恐怖その神的失語症の高みからやがてわかるであろうがなぜかわからぬ多少の例外を除いてまさに我々を愛し神的ミランダのごとくやがてわかるであろうがなぜかわからぬ苦しみの中に火の中にある人・・・・・」


面白いと思った人は、ぜひ声に出して読んでみてほしい。


演劇論は(ボクには門外漢なので)語るつもりはないけれど、この意味をなさないことに意味を見出す感じって好きです。


先日「シンボルの世界」の本の紹介もしたけれど、実は意味なんてないのかもしれないことも、そこに何かしらの意味を見出していく作業が、ボクには面白くて、楽しくて仕方がない。


この『ゴドーを待ちながら』って作品、一度観てみたいなぁ。


どなたか、情報を!















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