自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『種をまく人( SEED FOLKS )』

2015-06-14 09:47:02 | おもしろかった本
アーヴィン・ラズロと言う博士がいる。


ハンガリーで生まれ、世界賢人会議 『 ブタペストクラブ 』 の創設者である。


ガイアシンフォニーの第5番でも紹介され、日本での講演を聞きに行ったことがあった。


モーツァルトの再来とも言われたほどのピアニストであり、後援会にもかかわらず、その時も 「 月光 」 を演奏してくれた。


システム哲学と言うジャンルを創設した哲学者でもある。


難しい理論を数多く発表している中で、ボクが印象に残っているのは、「 量子真空理論 」


池に小石を投げ入れると、波紋が起きる。


さらにもう一つ別の場所から小石を投げ入れると、別の波紋が生まれ、池のどこかで二つの波紋が出会う。


その出会いによって、また新たな波紋が生まれていく。


この新しい波紋には、最初の二つの波紋の記憶がきちんと記録されている。


こういった記憶を記録しておく 「 場 」 を量子真空と呼び 「 この空間において、すべての存在はつながっている 」 と言われ、そのことが現代物理学上で科学的に証明されていると言うのです。


これは、私たちの思いや言葉、そして行動のすべてが人類全体だけでなく地球全体に影響を及ぼしていると言うことを意味しています。


なんだか難しい話になってしまいましたが、そんなことを思い出させてくれた、素敵な物語でした。


『 種をまく人 』 ポール・フライシュマン


天声人語でも紹介されて有名になっているので、ご存知の方も多いことでしょう。


「 キムの話 」と言う1章から始まります。


アメリカの北東部にあるクリ―ヴランドと言う町を舞台にしたお話。


この街の貧しい人たちが住む一角。


そこに3方をアパートで囲まれた空き地がある。


その空地には、ゴミ捨て場でもないのに、生ごみ、古タイヤ、壊れた椅子や電化製品まで、あらゆる廃棄物が所狭しと捨てられている。


ある年の冬が明けたばかりの春に、ヴェトナムから移り住んだキムと言う少女が、その空地にライ豆の種を植えます。


それがすべての始まりでした。


父親を亡くした貧しいキムは、捨てられた冷蔵庫の近くに、家から持ってきた小さなスプーンで地面を掘り始めます。


まだ固い地面は簡単には掘ることができません。


それでも学校でもらったライ豆の何粒かをようやく植えるのです。


キムは毎朝、その空地に来てはライ豆を植えています。


そして、上手に育てたら、とうさんが気づいて「働き者だな」って喜んでくれる、そんな気がしたのです。


その空地で始まった、キムのほんの小さな試みが、やがて道行く人の目に留まり、その人がまた休日に何かを植え始めるのです。


ゴミ捨て場のようだった空き地が、少しずつ菜園に変わっていきます。


病気で体が不自由になった人、移民してきた者の言葉がわからず閉じこもるような生活をしていた人、野菜を売って金もうけをしようとする人、、、、、


さらには、水場がないその空地に誰もが使える水場のアイディアを出す子供がいたり、知らないうちにそこには、楽園が生まれているのです。


まさに、「 すべての存在はつながって 」 いて、だからこそ、ボクたちが今どういう意識を持つのかによって、世界に何かしらの影響を与えていくわけです。


ほんの小さな一歩。


それも誰かに求められるためのものではなく、自分がしたいことを自分自身の手で進める。


それは、きっと、量子真空という、ボクたちの見えない世界を通して、未来のどこかにつながっているはず。







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