湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

中仙道・柏原宿

2010年09月22日 | 詩歌・歳時記
関ヶ原から西へ、即ち近江路である。
長久寺という村に、川と言うより細い溝と謂うべき流れがあり、それが県境だ。
秋風になぶられながらまたいでみる。
右足が岐阜県、左足が滋賀県である。妙な気分だ。
           
昔むかし、川をはさんで旅籠が二軒あったそうな。
夜更け、布団に入って、隣の宿の旅人と語り合ったそうな。
以来、この土地を「寝物語の里」と呼ぶ。
                                 
桜並木の道があり、紅葉のうちかさなる道があり、街道の風情を今に残す、貴重な一帯である。
やがて柏原の宿場町。お江戸の時代、「伊吹もぐさ」で名を売った処である。
当時は何十軒とあったそうだが、今は、亀屋左京、たった一軒残るのみ。
      
その江戸時代、あるお店の若旦那が江戸は深川の遊廓で、
遊女たちに「伊吹もぐさ」の唄を教えて、お客の前で踊り、歌ってもらったそうな。
わが国のCMソング第一号である。
その甲斐あって「伊吹もぐさ」の名声は、全国津津うらうらへ広まったと言うことだ。

柏原の次が醒ヶ井宿、そして番場、鳥居本と続いてゆく。
国道とあるいは混じり、あるいは平行して
中仙道は 昔の面影を垣間見せながら、伸びてゆく。