湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

ほたるいかの町・滑川( なめりかわ)

2011年03月13日 | 詩歌・歳時記
春の気配と冬の名残が、毎日のように綱引きをしているこの季節、スーパーに並ぶようになった。
ほたるいかである。
だが、きっぱりとまだ買わない。初期のこの時期、売り場に並ぶのは兵庫県産である。
やがて、北上して富山湾に入り、豊富な栄養と豊饒な海洋深層水に育てられ、
まごうことなき、富山のほたるいかとなるのだ。待てば海路の日和あり、である。

ほたるいかとくれば、滑川だ。快女優にして名エッセイスト、室井滋さんのご城下である。
すなわち、わが生まれ故郷、魚津の西側のおとなりさんだ。
国鉄の滑川駅から、なだらかな坂道がずっーと海辺まで続く、なんとも心おちつく町並みである。

その海辺に「ほたるいか・ミュージアム」がある。ほたるいかの発光ショーを見せてくれる劇場があり、
展示ホールやギャラリーなどの施設が充実している。
隣接して土産物売場があり、いつも買い求めるのが、ほたるイカの素干しである。
ライターであぶって食する。すぐに柔らかくなり、ほろ苦さとイカの旨味が口にひろがる。
二階がレストラン。「ほたるいか御膳」が旨かった。凝った容器に、さまざまに料理された
ほたるいか尽くしである。沖漬けは勿論、天ぷらがあとを引く美味しさであった。

その2つの建物の間に「タラソピア」がある。富山湾の沖合いから採取した海洋深層水を
引き込んだプールなのだ。ジェット水流が心地良い。故郷の海に身を任せているごとき安らぎを覚える。
すぐ近くには「アクア・スポット」があり、塩分を抜いた深層水を購える。キャンプの必需品である。
珈琲を淹れて飲むとき、故郷の味をゆっくりと楽しめる。
今日(3月9日)最近友だちになった、魚津生まれのひとから「ほたるいかが解禁になった」との、
メールが入った。2、3日後には、湖北にも入荷するだろう。
蕗の薹の天ぷらとともに、早春の楽しみな味わいではあることだ。