湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

「春を待つ少女」と蕗の薹

2011年03月19日 | 詩歌・歳時記

残雪の湖北の山々を背景に、野の梅もちらほらと咲き始めたこの日頃、
いまだ寒い風に向かって山並みを見つめる時、思わず口ずさむ昔の歌謡曲がある。


  ♪雪割草にくちづけて はるかな山を見る少女
    一人ぽっちは淋しいけれど ほらほらすぐに花咲く春が
   青い青いあの尾根に ほらほら君の瞳にも♪


45年も前にヒットした安達明の歌「春を待つ少女」である。
          詩:西沢爽、曲:遠藤実、64.12 日本コロムビア。¥300。
伸びやかな高音が心地よく、たたみかけるリズム感が沸き立つようで、早春のマイ・ソングである。
その他にも「女学生」「潮風を待つ少女」など多数のヒット曲を持つ、
ご三家に次ぐアイドル・スターであった。
                
この頃になると、蕗の薹を採りに行くのが、毎年の恒例だ。
    
家の裏手に名神高速道が走ってい、その土手に淡いみどり色の顔を覗かせるのである。
以前は、次にわらび・ゼンマイが生えてきて、5月になる頃はタラの芽が採れたものだった。
山菜の宝庫だったのだが、国土交通省の(整備・美化事業)によって、植物分布が変わってしまって、
今は蕗の薹のみが健在である。
そして、何故か時を重ねて持病の痛風が出るのであるが、今年は植物全般が遅いお蔭で、セーフだった。


採ってきた蕗の薹の半分を、東京の従妹に送り、残りの半分を天ぷらに、あとはふき味噌にして、
早春のほろ苦さと明るい季節の到来の歓びを味わうのである。

   海彦のカキフライ食い
   山彦のふきのとう食う
   春浅かれど

これからは1週間ごとに、北へ北へと野山に歩を伸ばすのである。
福井県との県境近くまで、1ヶ月は楽しめる訳だ。
この時期を狙って、大阪の弟が帰ってくる。自分の寝床が気になるのだ。

雪が多い年は、ことのほか蕗の薹の味わいが深いようだ。
厳しく、長い冬を耐え忍び、乗り越えてきた人間たちへの、大自然からの賜物かも知れない。