母の生まれ在所
母が入院してやがて一ヶ月が経つ。 膵臓にガンが見つかったのが、昨年の10月。
二度にわたるCTの検査で、肝臓にも転移して、高齢のため、手のほどこしようがないと、
余命半年を宣告されてしまった。
肩をもみ肩を叩きて
病室に
肉付きうすき母をかなしむ
清流の美しい邑である。
雪嶺は
空ととけあひ夢のごとく
あの世この世のひかりまといぬ
彦根城・二期咲き桜
療養病棟は一般病棟とは違い、ゆったり・のんびりしている。
すべての看護婦が天使の化身のように見える。
肩先の蒲団かすかに上下して
母のいのちを
知らしめるなり
むくんだ足をさすりながら、足りな過ぎた親孝行の積み上げの毎日である。
水戸市より寄贈・冬のさくら
長浜の町を浮かべて
湖しずか
雪つむ山のひそかなる声