ボクは座席に座っており、見つめる舞台は名古屋の「御園座」。西郷さんが初の座長公演として、川口松太郎原作の「さくら吹雪」より〔旗本がらす〕のお芝居でありました。
観音にとほきこの身や秋時雨
旗本の次男坊から、落ち目のやくざ一家の姉妹に巡り会ったわけだが、姉がやがては跡目を継いだ西郷さんの妻になる、しっとりと美しい葉山葉子であり、妹を演じたのがおきゃんな下町ムスメの川島なお美であったのだ。彼女、30歳のオン年でした。
脇が凄いです。姉妹を助けるたったひとりの身内が今は亡き古今亭志ん朝、池波正太郎ご贔屓の香川桂子、東映映画で錦兄や橋蔵に斬られまくった山形勲etc~。
何年間後にテレビドラマ化された時は、姉妹が入れ替わっており、西郷さんの妻役は妹の大谷直子、おきゃんな江戸っ子の姉が加賀マリ子でした。
春あさし幕間にくう名古屋めし
舞台で、西郷さんのふところの財布を狙って♪しくじっても悪びれない若き日の川島なお美のはつらつとした演技を今でも~かすかですがね、覚えております。
このprogramのプロヒィールをご紹介して、哀悼の想いにかえさせてもらいます。「川島なお美」名古屋出身とあって、この御園座や名鉄ホールでもおなじみの顔である。中村高校を出て青山学院大英文科に学んだ。
小さな頃から芸事好きで、大学入学と同時にレコード界にデビュ ー。
文化放送の深夜番組「ミスDJリクエストパレード」の語りと、小悪魔できない魅力が受けた。