マキノ高原
「片目猿」という、横山光輝の傑作劇画がある。当初は「ボーイズ・ライフ」という昭和40年代の
「プレイボーイ」「平凡パンチ」へは、まだ早い少年から青年向けの雑誌に、連載されたものだ。
油商人の身で美濃一国を乗っ取り、戦国大名にのし上がった斉藤道三と、陰で支えた「片目猿」と
呼ばれた凄腕の伊賀の忍者の物語りである。
鰯雲あるがままいく老ひの道
秋の湖まことの水のいろなりし
この1週間というもの、池波さんの忍者小説に耽溺している。
甲賀の女忍び「於蝶」を主人公にした 「蝶の戦記」「忍びの風」・・・・全五冊である。
謙信と信玄の川中島の決戦から始まり、信長の桶狭間の急襲、姉川の合戦、等々
戦国時代の大パノラマを、女忍びの眼を通して俯瞰した、一代ロマンの傑作である。
歩みさる愛しき夢よ曼珠沙華
ひこにゃんの登場まじか秋の風
甲賀の地は滋賀県の最南端に位置する。 取材のために何度もこの地を訪れた池波さん
である。特に「姉川の決戦」の描写において、わが知ったる土地と地名であることだ。
小谷山の浅井長政のその心中たるや、我にこそあるべし! ってなものだ。
歳をとって記憶力がおぼつかなくなったおかげで、この小説は三度目の再読であるが、
今もみずみずしく、面白い。 なんせ「鬼平犯科帳」などは、6、7度も読み返しているのだが、
読むべき本が見当たらなければ、今一度、手にしようと思うのだ。
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