彦根・湖岸
あれは20代から30にかけての頃のお話し。 作詞家ではメシが食えず、あまつさえ幼子が二人。
とにかく金銭に飢えていた。そこへ「競馬」と巡り会った。巡り会って・・・しまった、と言うべきか。
毎週、土日は府中競馬場へ出撃した。1レースから最終レースまで、大金を夢見て馬券を張った
訳けだが、今でなら、儲かるはずがないと解かることでも・・・・若かったのですね。
春日山まさに山城青き踏む
毘沙門の祈りに芽吹く古城かな
病が昂じて、平日も大井・浦和競馬場にまで出勤する。持ち金が10倍に増えたのは、何回に
1回だっただろうか? 万馬券が的中して、一時、息を吹き返す・・・その快感を求めたのだ。
我が愛しの・メジロファントム
山口瞳さんの名著に「草競馬流浪記」がある。瞳さんが、その時折、編集者や友だちと
日本中の地方競馬場を、巡り歩き、勝負して、土地の風と匂いを著わした読み物である。
もう表紙がぼろぼろになってしまった、新潮文庫本だ。
風ひかる健やかなるや誕生日
風薫る君の湖北は湖の上
「7月9日、木曜日。川崎競馬場に行くことになった。川崎、船橋、大井、浦和。
これを南関東4競馬場、略して南関四場と称す」
競馬は、ギャンブルではあるけれど、向き合い方によっては、文化ともなる。
それを教えて、熱い頭に冷水をぶっかけてくださったのが、山口瞳さんと巨泉さんである。
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