伊吹山の残雪が日ごとに消えて行き、やがて山容を人の顔に見立てるならば、額のあたりに
三日月の文様の最期の雪が耀くころには、里にも待望の春が訪れるのである。
その頃には決まって思い出す。
「この額の傷をなんと見る!」 御大・市川歌右衛門の右手人差し指が指し示す、額の三日月の
傷あとである。 「直参旗本、早乙女主水之介の諸羽流正眼崩し、見事破ってみせるか!」
かっかっか・・・と笑う旗本退屈男の優美な殺陣を思い出しながら、伊吹山を愛でる季節である。
近江とは水の王国風薫る
散りゆくも花のいのちと思ひけり
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