正月も3日を過ぎるころ、お節料理もあきてくるのだが、 かつてのわが家は父の誕生日が5日で
あったゆえ、4日には母と妹たちが近江牛やら野菜やら、すき焼きの材料を買出しに行くのが、
恒例であった。 毎年のお約束で楽しみのひとつではあった。
東京からボクたち4人、大阪から彦根から弟夫婦や子供たち・・・・最大で13人か14人の大家族
であった。 長方形のコタツにもうひとつコタツを並べて、秩序もなにもありゃーしない宴の始まり
である。 台所と茶の間を忙しく往復する母・・・・。
恋の娘の
吾子に寄り添ふ黒髪に
寂光院の冬の陽は映ゆ
そして今は、この茶の間にボクがひとりで酒を飲んでいる。 まったく ♪ 春高楼の花の宴・・・・
であることだ。 けれどこの空間には父と母の濃密な思い出が、いつも流れ漂っている。
姉川の雪の川原を
縫ふ水は
何やきらめく声を挙げつつ
「父さん」 と呼んでみる朝・・・・「母さん」 とつぶやく夜更け・・・・
たった一人で住んでいるこの家に、ボクはけっして独りではないと・・・・想うんだ。
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