EMI’Sーベルギー日記ー

リコーダー奏者EMIのブログ、2005.11.09開設。気ままに綴るブログです。
ただいまブリュッセルにてサバイバル中

何故オルフェオを聴かないといけないの?

2010年01月23日 | 日記
試験も終わり、ちょっと弛み気味でしたが、
ここ数週間暇で集中して1つの曲に取り組んでいました。

でも、この曲バイオリンの曲なので、リコーダー用にアレンジをかなりしないといけない。
しかも、作曲者は、恐らく不明。オリジナル楽譜も残っていなくて、
2つバージョンが世の中に残されている有名なイタリアバロック音楽。

一つは、オリジナルのコピー譜。ドレスデンで見つかる。
一つは、巨匠モダンバイオリン奏者が自分の録音の為にアレンジしたもの。


とても変わった話だけど、後者のほうが有名なのです。
なぜなら、バイオリン(特にモダンクラシックで)の重要な曲だから。。。。



まあ、そんなこんなで、毎日楽譜と笛とチェンバロで、ああでもないこおでもない、、
と楽譜を書いている日々でした。




沢山の失われたミステリーな部分が存在する古楽音楽。


当時の音楽を再現しようという試みで古楽が復興が始まり、
作曲者が何を望んだか、どう音がなるべきなのか考察することを重要視されているのは
もちろんのことですが、失われたミステリーゾーン、




では、どう決める??何に従う?




忠実精神な私はこの部分、常に大きな悩みの種です。



探す事は面白い、、とか其れだけでは私の中では納得できないので、
だから今でも学生をしているわけだけど、、、




昨日フレデリック先生のレッスンでのこんなワンシーン。



感情をどう演奏で表現するかという時に、
モンテヴェルディのオルフェオの1曲を例にあげて説明され、
その後、ちょっと唐突でしたが、


「この曲、また聴いてみて。これは大事だね。



・・・ねえ、何故オルフェオを聴かないと行けないか、知ってる?
2つ重要ポイントがあるんだ。」



私は、一つは、歴史的に初のオペラだから?と答え、
もう一つは・・・・・・・。と考えていたら、





「美しいからだよ。」




だって~~。


でも、このフレーズ、私の先生は、かなり使います。


どんな音楽の疑問でも必ず回答を用意してくれる人ですが、
解釈的に、音楽的に、和音や理論的に答えが無い場合、
かならずと言ってこのフレーズ。


何でかって?うーん。分からない。
ああ、でもほら、
このほうが美しいよ。




でも、それが一番重要なポイントかもしれないなと最近よく感じます。



とても美しいものは、誰が見ても美しいですもんね!



彼の下で勉強しはじめてから、絵を描いているような感覚になるんです。

真っ白いキャンバスに、
色を塗りなおしたり、曲がった線を書き直したり、何度も消しゴムで書いたり消したり、、、
フレデリック先生は、最終的な美しい絵を始めから見ていて、
それをめざしてレッスンしている感じ。
その空想絵はフレデリックはまさにバロック絵画だから
最終的な説明が美しいから、といわれても、
なんて曖昧な逃げの表現だとはまったく感じない。


国民性もあるとおもうけど、
特にフランス系の人は、美によって動かされていると良く感じます。



誰もが見落としてしまうようなとても小さなところまで美しいと感じる心が
素晴らしい音楽家には備わっているとおもいます。


たとえば、窓側でお昼ご飯を食べながら、テーブルの隅に映った影をみて、
何の形に見えるか感じて微笑みが出たり、
雨の水溜りをじっと見つめていたり。
風の音を何かの音楽と重ねている。




・・・

まあ、アーティストチック過ぎる人は大抵狂ってるけど。。。。
でも、良いバランスをもった芸術家も結構沢山いますよね。

なんだか、詩集が読みたくなってきた。