side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

復讐の協奏曲 中山七里

2021年02月21日 | 書籍・雑誌

*****ご注意 一部ネタバレを含む可能性があります ***** 


弁護士 御子柴礼司シリーズ

先の裁判で御子柴が少年時代、少女殺人を犯したことが世間に知られ、ネットでの呼びかけで御子柴への懲戒請求書多数提出され、御子柴の法律事務所の唯一の事務員 日下部洋子はその対応に追われていた。

そんな最中、最近知り合ったコンサルタント知原と食事をした洋子は、食事の翌日知原の遺体が発見されたと刑事の訪問を受ける
殺害現場近くで発見された凶器には洋子の指紋が残っており、殺人容疑で逮捕される。

御子柴は当然のように洋子の弁護人を引き受けたのだが、改めて洋子自身について何も知らないことに気づく。
洋子が自分と同じ地域出身であること、御子柴の過去を知りながら転職してきたことを知り、御子柴の不安が大きくなる。

洋子は何故 御子柴に近づいたのか?
果たして洋子は殺人犯なのか?
ネットの懲戒請求運動は偶然なのか?

御子柴シリーズの贖罪の奏鳴曲や追憶の夜想曲に比べると、事件そのもののインパクトは小さい
実際にあった少年犯罪を想起させる御子柴の過去の少年犯罪の印象が強すぎて、多くの犯罪が軽く見えてしまう
また今回は御子柴と洋子のそれぞれに対する人物評が詳細に描かれとても面白かった。

ネット社会、SNS上では匿名を良いことに、勝手な正義感を振りかざす、あるいは自分の考えこそ正義と扇動に乗ってしまう人が増えた昨今の時流も上手く題材に使っていた

タイトルどおり、復讐が絡み合ったストーリーだった

初出 メフィスト 2018 vol.2〜2019 vol.2
2020年11月第一刷発行
装幀 岡 孝治
カバー写真 O.D.O Billion Photos
 


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