腫瘍内科医一家のニューヨーク滞在記

ニューヨーク研究留学中での出来事を感想を交えてメモ代わりにつづります。

ニューヨーカーからの洗礼!

2010年02月13日 12時59分41秒 | 日記
 今日は、精神的にタフな一日であった。
 
 突然、研究室の番頭格の上司にこれまでの研究データをプレゼンするように言われ、実験を途中で中断し慌てて会議室に駆け込むと、大御所の先生はじめ、研究部所のChair Man等、恐ろしいメンバーに囲まれてしまった。さらに、自分のボスは出張中で今日は不在。
 先日の患者さんのデータを、大御所の先生と番頭さんと自分だけでディスカッションするものと思っていた自分は完全に意表をつかれた。
 
 「勘弁してくれ。」

 仲間内だけで行うような生のデータ(論文や学会に出すような整理されたデータでない。)をプレゼンしたので、細かい突っ込みが入りまくりであった。
 データのみならず、このときはどうした、あのときはどうしたといった細かい実験の手順のことまで、重箱の隅をつつかれまくるのである。
 こちらは英語がすべて聞き取れるわけでなく、右から左から、縦から横から斜めから(そんな日本語ないって!)思いつくまま口々に鉄砲玉のように質問が飛んでくる。
 チャアマンに至っては、南部訛りのハスキーボイス!のためか、何を言っているか全く聞き取れない。そういえば、一年前のインタビューの時もこの人の英語だけは全く聞き取れなかった。わかろうがわかるまいが、とにかく、この人が一番偉い。
 さらに、興味が持てなかったのか、途中で平気で抜けていく者もいる!
 非常に不愉快な気分になったが、冷静に考えれば、前置きもなく仕事中に呼び出されて、いきなり片言の英語しか話せない日本人のプレゼンを聞かされるわけだから。
 ここには、日本的な遠慮、配慮は一切ないのである。
    
 拷問のような一時間半であった。

 そういえば、こちらの人間から聞いたが、「おまえもニューヨーカーらしくなったな。」というのは、時に一級品のジョークかつ皮肉の意味で使用されるらしい。その心は、「厚かましく、図々しく、自己主張の強いやつ。」という意味が言外に込められている。
 ニューヨーク恐るべし。
 日本では京都に言葉の「表と裏」を使い分ける文化があるらしいと聞いたことがある。
 今もそのような文化が残っているのであろうか。
 自分がこのようなジョークを言われることはずっとないであろう。
 まだまだ、肩身が狭いのである。  
 
 写真は、今日使用した会議室。
 マンハッタンの景色が一望できるが、今日はとても窓の外なんて見る余裕はなかった。