100分de名著 『善の研究』 西田幾多郎
第三回 「純粋経験」と「実在」
「愛」や「善」といった概念を、主観と客観に二分しない独自の思考法から再定義していく西田哲学。
その根幹を支えるのが「純粋経験」という特異な概念だ。
たとえば、音楽を聴くという体験は音源から伝わる空気の振動を感覚器官がとらえるという物質過程ではなく、
主体も客体も分離される以前のあるがままの経験が何にも先立って存在する。
これを「純粋経験」という。この立場から世界を見つめると、私たちが「実在」とみなしてきたものは、単なる抽象的な物体ではなく、
世界の根底でうごめている「一なるもの」の「働き」としてとらえ直されるという。
第三回は、合理主義的な思考では排除されてきた人間本 来の豊かな経験を取り戻すために、「純粋経験」や「実在」といった西田独自の概念を読み解いていく。
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