11 山城高校定時制教頭として「あなたはブルトーザー」の様
当時、教務部長の足立修行氏から、
教育委員会の勤めから解放され、現場に戻れるのが嬉しくて、もう無我夢中で定時制教頭して動き回った。そして勤務時間の変則に対応するために苦労した。勤め終え帰宅後夕食、風呂、やっと落ち着き、就寝する頃は午前3時、8時間寝るとして11時に起床、ところが、世の中は一日のスタートの時間帯の朝、7.8時に世間は動き出す。私もこれまでの習慣で目が覚める。
生徒の夕食用として食堂が用意されていて職員も食べれば良いのだが、若者向きのフライものが多くて、そのメニューを食べ続ける訳にはいかない、確実に年齢相応の食事とはならないため、帰宅してから食べることとした。それまでにいろんな食事のパターンを試してみたが結局のところ、良くないとは思いながら日が替わって食べる事が定着してしまった。
足立氏の言う「ブルトーザー」とは? 64年の歴史を誇る山城高校定時制が次年度新入生を募集しない。と2学期最初の会議で小林校長先生から発表があったのである。しかも、市内の3校定時制が同時にである。ここからが、私の活躍の始まりである。問題は殊の外、定時制教育への思い入れの強くて熱い先生方、現場の真実の声を大切にする事しかないと実感していた。私はそれら先生方の思いを受けて私の出来るであろう事を為して行く事を自覚しただけである。同じ運命にある洛北高校定時制と連絡を取り、当時の西山教頭先生と情報交換を交わす中で、暗中模索、山城定時制募集停止対策会議の方向と如何に同調しながら、在校生に取ってよりよい閉制がむかえられるかを一緒に考えた。生徒や職員の考えを集約し、教頭としての意見も合わせ両校長先生へ具申し、府立高校2定時制として府教育委員会へ申し入れと提案をして頂き、= 結果可能な限り対応していく = と言う良報を頂き、組み立てが始まった。これが「活性化対策事業」として実現の運びとなったのである。
定時制教育に精力を尽くしてきた、足立教務部長はそれまでの経験上、府予算を定時制へつけてもらうと言う良い思いをこれまでは皆無であっただけに、つまり、ルールに則り(筋を通して)両学校長から、府の方針(定時制募集停止)を受け入れるには、この課題をクリアーしなければ、在校生徒や教職員は恐らく納得しないであろう。納得出来る府教育委員会の誠意を具体化するには、以下の提案を了解して、予算を計上してもらえるなら、現場として努力をしよう。こんな内容で掛け合って頂いたのが事実で、教頭の立場は出てきた方針に則って実現させていくだけで、現場の理解の下、施策実現していくのである。この極普通の事の運びを成しただけであるのにも関わらず、私の動きを「あなたはブルトーザー」の様と表現したのである。「火事場の馬鹿力」的な状況に置かれたことが、次々と平時では考えられない事々が実現したわけであります。大前提には校長はじめ職員、生徒、保護者の一体となれた信頼関係が全てを可能にした答えである。それまでの定時制教育が、校長、教頭、現場の教職員、生徒達、保護者が1つになること無しに流れてきた残念な状態であった事実を物語っていた。歴史をたどると誇りある定時制教育の展開を散見する事もあり、全日制と定時制の比較論でなく、誇りある各人という視点が大切では無いかと考えさせられる貴重な経験であった。
記念誌 「月下に学べり」 寄稿 「山城高校定時制募集停止の知らせを受けて」
H8(1996)~H10(1998)教頭 吉田 荘治
閉制をむかえ記念冊子を残し、永く語り継げるようにと最後を見届ける関係者の御配慮で原稿依頼を頂き、ここに拙文を記すことといたします。
生徒が積極的でしかも学校生活が楽しく、充実した学習につながるよう願って、行事や環境を整える事を念頭に置き、先生方と一緒に努力していたように振り返ります。その後の「活性化対策事業」として花開いたと思います。
平成8年9月2日(月)の職員会議で、小林暉彦校長先生から「平成9年度入学生は募集停止」と報告があった。すぐさま翌週の9月9日(月)に学校長から話を聞く場をもった。何故わが校が募集停止なのか、原級留置した生徒はどうなるのかなど、不安いっぱいで今後どうなるのか見通しが立たないため、募集停止にかかわる対策会議を設置し対応するのが良いという判断で、学校長を中心に「募集停止対策会議」を設置する事となった。先生方の不安や情報不足を補うためには、この早期の立ち上がりが良かった。第1回募集停止対策会議を9月19日に、第2回目を9月25日、続いて第3回目を10月7日に実施し、山定独自の足固めができあがってきたのも、学校長の英断と教職員の真正面から取り組む意気込みの表れと今更ながら敬服し、分岐点であったと思う。その間、新聞発表をはじめ、市立高校定時制募集停止に対する動きや、洛北高校定時制問題などが続いて報道される中、対策会議に先立って学校長は育友会長の陶山氏へ理解を求められたり、生徒と面談をされ、学校長の言葉と心を頼もしく受け止めた様子もあった。生徒会役員や生徒総会にあたり生徒部長と打合せ、そして11月18日の育友会総会も経た。数々の雑音や難関の中、生徒第一を思い、共に創り上げる心意気の仲間達の結集により、山定最後の卒業式と閉幕の時が刻々と迫りつつある。最終ランナー諸君と関係の皆様に惜しみない拍手を送りたい。
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