そ の ひ ぐ ら し

その日1日を良く暮らせればよし。
スカイツリーのふもとでちびと小ちびとオットと4人暮らし。

『未来を写した子どもたち』

2008-12-19 23:38:21 | movie review
久々に、ちょっとすごい映画を観た。
五感が全開になるこの感じ。
会社員生活で死んでた感覚が突然息を吹き返すこの感じ。

未来を写した子どもたち

女性写真家ザナ・ブリスキ(Zana Briski)がインド・カルカッタの売春宿街の子どもたちに写真を教える、というドキュメンタリー映画。

子供たちの撮る写真が、とにかくすごい。
心のままに、撮りたいものを撮るから直球なのだ。
美しく撮ろうとか、構図に凝ろうとか、難しく考えないから、明確なのだ。
刺さる。これこそ写真の原点。

彼らの写真を集めた展示会がニューヨークで開かれ、展示会の収益は子どもたちに還元される。
彼らの教育や生活の改善のために使われる。

ザナ・ブリスキは子供たちに生きる術そのものを教えた。写真というテクニックを通じて。
夢や希望のようなきらきらしたことももちろんそうだが、それ以上に意義があると私が思うのは、
生きるために欠かせない力=経済力を身につける術をも教えたことだ。
写真というテクニックを通じて。
「寄付=裕福な善意の人からのお恵み」で教育を受けるのではなく、
彼ら自身の持てる感性を生かした写真で、(全額でないにせよ)自らの生活費や学費を稼いだのだ。
それはとりもなおさず、彼らの両親がしてきた違法行為の生業からの脱却への道すじであり、
「彼らにしかできない仕事」への導きだ。

人助けが素晴らしいことなのは間違いないが、私がボランティアというものに懐疑的なのは、
ボランティアだけでは自分の生活が成り立たないからだ。当たり前のことだが、人助けはお金を生まない。
つまり、ボランティアもまた、他の誰かの経済力に依存して生きざるを得ないことが、往々にしてあるからだ。
だけどザナの行為は自らの生業である写真業を(それが実際どれだけ収入になっているか、という問題はここでは不問に付させてほしい)営みつつ、子どもたちにひとつの職業訓練をほどこした。
これが、自分自身の生活を面倒見ながらできる、本当の意味での支援=自立促進ではないか。

(このへんは経済面で他人に依存することを極端に嫌う私の主観によるところが大きいので、
気を悪くしないでいただきたい。)

なんとなく、のうのうとサラリーウーマンやってる場合じゃない、という気についついさせられてしまう。

ちょっとでも「お」と思った方はぜひ観てほしい。
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2 Comments

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同感 (sai)
2008-12-20 02:29:11
この映画もそうだけど、
ボランティアについてすごく同感。
いろいろ参加してきたけど、
ボランティアって続けないと価値を生まないし、
そもそもその「価値」自体が怪しい。

長期的に、さらにボランティア受ける側の生活や文化を踏まえると、
彼らの自立がまず第一だと思います。

てゆーか映画見てないんだけどね!!!
写真関連の知り合いはけっこう見てる人多いね!
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re (soleil8756)
2008-12-20 22:24:15
>sai
そうそう、支援は、自分が食えてることが大前提で、相手も食えるようにしてあげられてこそ本当の意味があると思うのよね。
そういう人助けができるなら私もやりたい。

映画は、写真好きなら子どもたちの写真見るだけでも価値ある映画だよ。
素敵なんでポストカードブック買っちゃった
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