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ヴォーカル(おやすみ中)、音楽講師、トウリーダーなどなど😊❤️

音がすべて

2020年01月21日 | 日記・エッセイ・コラム
このところレッスンの伴奏以外でピアノを弾いていなかったので、朝の練習時間を確保。
やっとショーロの新しい曲をさらいはじめました。軽快で可愛らしい曲です。
が、弾くひとによって全然違います。




先日youtubeで、漁師さんの52歳の男性が
テレビで聴いたフジコ・ヘミングさんが弾くリストの「ラ・カンパネラ」を聴いて感動し、7年かかってマスター、
ご本人に聴いてもらったという映像が流れていました。
テレビ放映の録画がyoutubeになったようです。思わず涙。
ご本人の努力にもですが、音色の美しさに。
音はすべてを表すと思いました。

7年の間、一日8時間練習したそうです。
仕事以外のすべてを犠牲にして練習したとおっしゃっていました。
ただただ、フジコさんの魂の音色だけを思って。
どうしてそんなことができるんだろう、とまた涙。
リストは難しいと言われますが、単に難しいだけじゃなくて私は特定の人にしか弾けない部類の曲だとずっと思ってました。
カンパネラは中でも難度が高く、全部弾くには相当の覚悟と努力と資質が必要になると思います。
私のリスト曲集の中にもカンパネラ入っていますが、もう何かの模様のような楽譜ですよ。
その男性は、ピアノを弾いたことがなければ楽譜も読めないということで、徹底的に指に記憶させていったのだそうです。

ごつごつした大きな手は当時のヴィルトゥオーソみたいで
その手から響く音色が透明で美しくて、なにかが乗り移ったのではと思うような素晴らしい演奏でした。


ピアノって子どもの頃からやらないとできないんでしょう?
もう年だから。
別にプロになるわけじゃないし。
なんて私たちはすぐ頭のほうが勝手に働いてしまうんだけれど、
その漁師さんはただただ心を動かしたフジコさんの音色を弾きたくてついに弾けるようになって、
心の中に描いたものが外に出る瞬間ってなんて美しいんだろうと感じました。