同じ著者のこの冊子も読んでみました。
「シンデレラ 読書の学校 100分de名著」中野京子
ペロー、ディズニー、グリムのシンデレラをそれぞれ比較し、
フランス宮廷文化、アメリカ文化、ドイツ民衆文化(および各地の伝承物語)
の違いを浮き彫りにしています。
中学生向けの講演ということで
斬り込み方は浅い感じですが、
面白く読めました。
グリムのシンデレラのことはよく知らなかったので、
興味深かったですね。
昔話はシンプルなのに多層的で多面的。
それを文化的に、心理的に掘り下げた研究書は
いくらでもありそうです。
ペローのシンデレラは
作家の個人的創作が入っているので
物語の質、読み解き方が変わってきて、
当時の宮廷文化についてのあれこれが
重要になってくる。
それもまた面白い。
話はズレますが、
グリムとペローの違いを読んで、
グリムとアンデルセンの違いを思い出しました。
アンデルセン、有名な子ども向けの話なので
息子が幼児の頃に読んであげたことがあるんですが、
良い話なのに、どうもしっくりこなくて
戸惑ったのを覚えています。
小さな子に読むものには
芸術家の独創的な創作はあまり要らなくて、
昔話の方が圧倒的に良いことを
思い知った感がしました。
ある程度大きくなると
アンデルセンの創作の面白さもまた
良くなってくるんですけどね。
しっくりくるようになったのは
小学生になってからかな。
…話を戻します。
そして、ディズニー。
この本を読んで改めて思いました。
ディズニーの薄っぺらさよ。
ディズニー映画、観たことなくてホントに良かったーー!!!
深みの無い話の強烈な印象を
最初に植え付けられたらたまりませんからね。
そんなことになる前に
自分のイメージを持つことができてよかった。
私も息子もディズニーのは観たことありません。
ついでに、なぜか絵本やグリムでも
読んだことがなくて。
息子の知っているシンデレラは、バレエだけですね。
(ミュージカルも観たけど、覚えてないはず。
英語だったし。)
バレエのシンデレラはペローのに近いです。
フランス文化だからでしょうかね??
音楽はプロコフィエフですが。
あ、でも、いじわるお姉さんが
醜い外見をしているのがバレエの定番なのは
ディズニー版と同じですね。
ベロー版ではお姉さんは美しいと
書かれているらしいので。
(余談ですが、ディズニー好きの人にしたら
ディズニーに興味の無い女子供がいる
というのは信じがたいようですね。
信じがたいというか、「許しがたい」という感じ。
いえね、それでゲンナリすることがあって・・・
あれ、まるで一種の宗教のよう。
ディズニーは別に「全ての子どもの夢」
ではありませんからねーー!!!
と声を大にして言いたい。)
アメリカ文化つながりで、ブロードウェイで観た
ミュージカルのシンデレラの話を。
ディズニー版が作られた頃より、
行動的な女性が好まれる世の中になったからでしょう、
ミュージカルのシンデレラは
強い意思を持ち、聡明で行動的でした。
王子も行動的。
その辺、グリムのシンデレラに近い。
「いじわるお姉さん」も醜くない。
ついでに、意地悪でもない。
どちらかと言えば、大人しめの優等生タイプ。
意地悪なのは継母で、
お姉さんは母親に逆らえないだけという設定。
お姉さんは母親に逆らえないだけという設定。
母親の目を気にして、好きな男性とも付き合えない。
でも、シンデレラの助けにより、
その身分が低いけど頭の良い男性と
恋人になる。
で、結末はというと、
シンデレラとお姉さんは同時に結婚する。
さらに、シンデレラ、王子に議会制民主主義の素晴らしさを説き、
王子はそれをすんなり受け入れ、選挙を行う。
そしてお姉さんの恋人が大統領に当選し、
王子とシンデレラがそれを祝福するという・・・・
ディズニーもペローもグリムも
びっくりの展開ですね(笑)
ま、今のアメリカらしさを端的に表しているのかも。
昔話の深みとは既に大きくかけ離れていますが、
どうせアメリカはディズニーで
そういった伝承文化の深みや力を打ち砕いているのですから、
そういった伝承文化の深みや力を打ち砕いているのですから、
どうせならその線で突き進んでも
それはそれで一興ではないかと。
とはいえ、このミュージカルが
アメリカ版シンデレラの主流になった訳ではなく、
現実にはディズニー優勢が続いているんでしょうね。
…この先も見る予定はないけど。