olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

『空が青いから白をえらんだのです』

2021-03-17 | 読書メモ
友人から勧められた本が素晴らしかった。
 
良い本です。

まず、この取組みが素晴らしい。

そして、詩も、良いです。

特に、受刑者である少年たちが
親を思って書いた詩は、
涙無しに読めません。

自分が親だからというのもあるけれど、
人を傷つける前に
深く傷けられていた少年達の、
最も根っこの部分が
さらけ出されているからだと思う。


(p.119「クリスマス・プレゼント」より)
サンタさん お願い
ふとっちょで怒りん坊の
へんちくりんなママでいいから
ぼくにちょうだい
世界のどっかに きっとそんなママが
余っているでしょう
そのママを ぼくにちょうだい
そしたら ぼく うんと大事にするよ

・・・

サンタさん
ぼくは余った子どもなんだ
どこかに さみしいママがいたら
ぼくがプレゼントになるから 連れていってよ



↓の著者による講演は、
だいたい、本の中に書いている
著者による言葉と同じ内容です。


この授業を
犯罪を犯す前の
困難を抱える子ども達に
提供できたなら、
その子は
犯罪に走らずに済んだかもしれない、
そうすれば
被害者が苦しむこともなかったのに…
と考えずにいられません。


でも、一番のネックは、
そうした授業を成立させる条件となる
「良い大人」の存在だろうと思うんです。


著者も書いておられます。
この授業が成功したのは、
まず、日常から
刑務官と受刑者との間に
信頼関係が築けるよう
根気強い働きかけがなされていて、
刑務官の態度が
少年達の良いお手本になっているからだと。

詩の力、表現することの力、
それを周りに認められることで
得られる力はとても大きく、
刑務官の日常の努力だけでは
与えられなかった変化を
受刑者にもたらすことになるのですが、
そのためには
「良い大人」が子どもの周りにいることが
絶対条件となるのですね。


罪を犯す前の
子どもの周りにいる指導者といえば、
学校の先生です。
「望ましい答え」へと誘導したがる先生、
先入観で拙速に子どもをジャッジする先生、
子どもを待てない先生、
教えたがりの先生・・・
もし、そういう先生が、
通常の「学校の先生」の意識のまま
子ども達の前に立つなら、
この授業は成立しないだろうな。
とても残念だけど。



他方、少年刑務所つながりで読んだ
これら2冊に書かれていたのは、
あまりにも厳しい現実でした。

 


『ケーキの切れない・・・』は、
犯罪を犯し、収監された子ども達の
知的レベルの低さを問題としています。

『虐待された・・・』は、
犯罪を犯す子ども達の知的レベルは様々だが
とにかく共通するのは生育歴の問題だ
という立場。


いずれも、
「罪の意識を持たせる」という
最初の一歩がどれだけ難しいか、
ほとんど無理なんじゃないか…
という現実が書かれているので、
希望の無さに打ちのめされてしまいます。

その現実を踏まえた上で
更正に向けた取組みが紹介されていて、
それが一筋の希望となり得るのだけど、
しかしそれを普及させるのは
実際には大変難しいというところに
着地してしまうんですね…


その後で、もう一度
奈良少年刑務所の事例に立ち戻ると、
これはやはり「魔法のような効果」
と言える特別な事例なのかもしれないな、と
感心してしまうのです。


寮美千子さん、他にも関連する本を
出しておられるようなので、
読んでみようと思います。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (michi)
2021-03-19 07:54:35
こんばんは!
とても共感しながら拝見しました。
フランスの学校の先生向けの雑誌で、教育は未来の非行を減らす、という文章を見つけました。そのためにまずは大人たちがお手本に、そして正しい知識を身につけなくてはいけないですね。
為になるお話をありがとうございました!
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Unknown (soratombo)
2021-03-19 09:38:10
michiさま

コメントありがとうございます♪
全世界、子どもが必要とすることは同じなんですよね。
大人のはしくれとして何ができるか、考えてしまいます。

子どものニーズは同じでも、国が違えば視点が変わり、こちらでは思いつかないような良いアイデアがあるかもしれない!と期待してしまいます。
フランスの事情にも興味があるので、機会があれば、ぜひご紹介くださいね!!
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ステキな大人が (オキツ)
2021-03-21 01:11:06
涙出そうな言葉です。厳しさのレベルが違いますね。そここそ手が届いて欲しいですが、個人的にはそこまではなかなか手が届きません。心は開いておこうと思いますが…。
身近なところでは、コロナでトライヤルウィークが出来なかった中学生向けに話をしてやろうというステキな大人がこんなにもいっぱいいてくれて感動した、という事がありました。
ステキな大人の話→https://note.com/steinerkobe/n/na83b7593f89f
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Unknown (soratombo)
2021-03-21 15:28:56
オキツさま

コメントありがとうございます。
そうなんです、あまりにも厳しい現実…私も、今すぐ自分に何かが出来る訳ではないのですが、心に留め、意識を向けるようにしようと思いました。
オキツさまの試みも、子どもの未来に力を与える素晴らしい事ですね!!思いを実行に移せる大人達、協力を惜しまない大人達、みなさま素晴らしいです。プラスのエネルギーをひしひしと感じ、私も思わず「未来は明るい!」という気分になりました(^∇^)
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