以前、「作曲家と友達に」というタイトルで
本を紹介したのですが、
今年子どもと一緒に読んだ本の中から
良かった本をもう一冊ご紹介。
「メンデルスゾーンとアンデルセン」
中野京子著
中野京子著
ドイツの作曲家メンデルスゾーンとデンマークの作家アンデルセン、
それにスウェーデン出身の歌姫ジェニー・リンドの
3人それぞれの生い立ちから出会い、交流、恋・・・が描かれています。
とても興味深い内容だし、物語としても面白い。
これを読んでから息子はメンデルスゾーンのことを
「フェリックス」と呼ぶようになりました。
(友達か・笑)
かなり惚れ込んでいます。
仕方ない。
とても魅力的な人物なんです。
メンデルスゾーン銀行の跡取り息子(才能ありすぎて跡はとらなかったけど)、
作曲だけにとどまらない溢れる才能、それなのに謙虚で勤勉、
明るく聡明で、知的で優雅、美しい容姿、優れた美的感覚・・・
万人を惹きつける魅力があり、そのうえ優しく誠実。
作曲だけにとどまらない溢れる才能、それなのに謙虚で勤勉、
明るく聡明で、知的で優雅、美しい容姿、優れた美的感覚・・・
万人を惹きつける魅力があり、そのうえ優しく誠実。
もうね、ため息しかない。
男も女も、子どももおばちゃんも、魅了されて当然です。
(息子は一方で不細工で空気読めないアンデルセンには
微妙な感情を持つようになり^^;、
ユダヤ人差別全開でメンデルスゾーンを攻撃したワーグナーに至っては
唾棄すべき人物と毛嫌いするようになりました)
息子、もともとメンデルスゾーンの
「真夏の夜の夢」や「ヴァイオリン協奏曲」「ピアノ協奏曲」などが
お気に入りだったんですが、
「フェリックス」と呼ぶ仲になってからは、入れ込み方が違うようになりました。
ぼくの親友(あるいは憧れの近しいお兄さん)の自慢の一作、みたいな?(笑)
私は、メンデルスゾーンの尽力のおかげで
バッハが世に知られるようになったということにも
感動しました。
メンデルスゾーンの理解と努力と財力がなければ
バッハはこの世から忘れ去られ楽譜は散逸していたかもしれない。
バッハはこの世から忘れ去られ楽譜は散逸していたかもしれない。
ああ、優れた才能だからこそ優れた才能を見逃さなかったのね。
メンデルスゾーンさま、ありがとう!!
これだけの人物が、ユダヤ人差別により破滅に追い込まれていく。
読者を怖がらせるあからさまな暴力の描写はありませんので
子どもにも安心ですが、
人種差別により理不尽に追い詰められる様子は
はっきりと読み取れます。
こんなに素晴らしい人が。
そしてその後、より深刻な迫害があったことを
後世の私たちは知っている。
その序章的な時代にメンデルスゾーンがいた。
その後の歴史を習っていない小学生にも
その時代の空気が感じられ、理解できたはず。
そして胸が痛くなったと思います。
これを読んだ後、息子は
ユダヤ人のこと、第1次世界大戦のこと、ナチスのことなど
いろいろ質問してきました。
「遠い国の遠い時代の自分とは関係の無い歴史上の出来事」
としての知識を求めたのではなく、
「大好きなフェリックスの身に何が起きたのか理解したい」
という気持ちから出た質問なんだと思います。
という気持ちから出た質問なんだと思います。
この気持ち、大事。
さて、この本を読んでからしばらくして
息子抜きで「黄金のアデーレ」という映画を見ました。
これはメンデルスゾーンより70年ほど後の話。
でも、つながっている。
似ているんです。
地域は多少違うけれど(ハンブルクとウィーン)、この映画も
大変裕福で芸術を愛する文化人であるユダヤ人家族が主人公。
けれどもユダヤ人というだけで迫害される。
(もちろんナチスの方が容赦なく全てを剥奪するのだけれど)
メンデルスゾーンが序章だとすれば、
この話は悲劇のクライマックス。
いつか息子にもこの映画を勧めたいと思う。
物語の内容的には今、教えたいくらいだけど、
まだ、迫害のつらいシーンに耐えられないと思うから
みせるとすれば思春期を迎えてからかな。
楽しみ。