スペイン語のクラスで,食事が話題となり,受講生の一人の方が,日本食ではコメが主役であり,食事のことをご飯と言い,炊いたコメを意味する飯という字を使っている,と言われた。
なるほどと思い,飯の意味をあらためて調べてみた。飯の訓読みはメシであり,これは召しあがるという尊敬語に由来し,食事のことを本来意味していたらしい。しかし,辞書の多くでは,飯の項の一番目では禾穀類,特にコメを炊いたものと説明し,二番目に食事のことと述べている。
確かに,「ご飯だよ」と呼びかければ,食事のことになるが,やはりそこには米飯が含意されているのではなかろうか。わたしは,食事の時の「いただきます」は,食卓にそれがある時には,茶碗に盛られたご飯に向かって言っている。少なくともわたしにとっては,コメは別格の食物である。
食事を意味した「飯」が,転じて炊いたコメを意味するようになったところに,日本人のコメを特別なものとする思いがあるのではないだろうか。さて,この文化・伝統はどうなっていて,将来どうなるだろうか。