わたしは,就寝前にFireTVを通して配信されるドラマを観ている。外国テレビのシリーズ物が多い。最近,ザ・クラウンという英米合作のドラマを観終わった。イギリスのエリザベス2世治政下の王室の内情をドラマ化したもので,現在までに4シーズン,各10エピソードが配信されている。時代的には1947年のエリザベス王女とフィリップ公爵との結婚から,1990年のサッチャー首相の辞任までがカバーされている。
史実が忠実になぞられ,スエズ動乱,ペルシャ湾危機,ケネディー暗殺,フォークランド紛争など,記憶にある事件が王室サイドから描かれて興味深かったが,何よりも驚いたのは,王室内部における人間関係が赤裸々に描かれていることである。
戴冠式のエリザベス2世
エリザベス2世に臣下の礼をとるフィリップ殿下。写真はいずれもテレビ画面を撮影。
わたしは,王室というのは,ある意味で最も非論理的な存在の一つだと考えるが,その非論理的な世界に生きる人々が,生身の人間として,嫉妬したり,羨望したり,いがみ合ったり,みだらな関係をむすんだりする様子が,ドラマとはいえ,生々しく演じられている。しかも,これらのエピソードは,スキャンダルとして報じられた事件に立脚している。
このような内容の映画に,英王室からも,イギリス政府からもクレームがつけられていないのが,もう一つの驚きである。それどころか,ドラマはいくつかの賞に輝いている。日本で,皇室に関するこのような映画が作られることは,とても想像できない。
この日英の差は何だろうか。