賭 け
今年1月に亡くなった半藤一利さんは,その著書の中で,日露戦争はきわどい賭けであり,日本の勝利は僥倖に恵まれた奇跡であったことを述べ,そのことは軍部首脳部の認識するところではあったが,それが国民には伝わらず,戦勝のお祭り騒ぎで日本は戦えば勝つという神話につながり,昭和の指導部は日露戦争の教訓を学ばずして,太平洋戦争に突入したと指摘している。
今回のオリンピックの強行に,わたしはこれに共通するものを感じる。昨年の東京オリンピック延期決定時よりも状況は改善されておらず,確たる見通しもないにも拘わらず,何とかなると開催を前提にして,ことが進められてきた。橋本組織委員長は,外国記者団からの「国民の支持が得られていないのでは?」との問に,支持はだんだん増えてきて,大会が近づけばさらに上がるだろう,と答えている。強行すればついてくるといわんばかりである。
国の命運や国民の健康は賭けの具ではない。オリパラの強行が,国の将来のあり方に悪影響を与えることを,わたしは強く憂える。
署 名
上野千鶴子さんら知識人が呼びかけたオリンピック開催反対の署名が,13万5千に達したとの記事を読んだ。わたしは,宇都宮健児さんの集めている方に署名している。こちらは50万に達しようとしている。ネットのchange.orgから簡単に署名できる。