博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

当事国の民主化と領土問題

2012年09月27日 | 時事

昨日このブログで、ゴルバチョフ政権時代に、日本政府がうまく交渉すれば、北方領土のうち色丹島・歯舞諸島は日本の領土として回復できたのではないかということを、私は記述しました。

改めて考えてみると、この想定はあまり良い前提に立っていないと気が付きました。結局これは相手国の独裁者の恣意性に依拠した考え方だからです。

1990年にソ連が共産党の一党独裁を放棄しました。この頃、当時の職場の先輩とこんな話をしました。先輩はソ連で民主化が進めば、北方領土も交渉しやすくなり、取り戻すことができるのではないかという意見でした。

 私は「むしろそれは逆でしょう」と答えました。ソ連の指導者が民意に基づく自由な選挙で選ばれることになれば、有権者に不人気な政策はとれなくなります。領土問題で日本に譲歩するような指導者は有権者の支持を得られなくなるでしょう。ですからソ連で民主化、自由化が進めば進むほど、むしろ北方領土を取り戻すことは難しくなるでしょうと話しました。(この話は以前、このブログでも書きました)むしろ独裁者の方が国民の意向を気にしないで、日本に返還するという決定を下しやすすいのではないかと言いました。もちろん独裁者であっても、国民の一定の支持があるから独裁者をやっていられるのであって、いったん支持を失えば、リビアのカダフィ、エジプトのムバラク、イタリアのムソリーニのような悲惨な末路を辿ることになります。それでも議会や民意の規制を受けない分、交渉しやすという面はあるでしょう。ゴルバチョフやプーチンのような強権的色彩を多少でも残した指導者だから中国に譲歩する決定ができたという気もします。でもこのような考え方では独裁者に支配されている相手国の国民に対していかにも無責任な気もします。

 現在の中国は共産党の一党独裁ですが、中国国民のナショナリズムを見ると尖閣問題で日本に譲歩できないという様子はありありと見えます。また尖閣諸島の領有権は台湾政府も1971年以来日本に一貫して主張しています。台湾はすでに民主化されて久しい国です。竹島問題の韓国も軍政から脱却して20年以上になります。結局相手国の国民に日本の領有権の主張を受け入れてもらうという、かなり困難なハードルを超えないといけないということになります。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。