正月に家内と今回の選挙での自民党の勝因について話をしていました。家内の見解では有権者の第一の関心が景気だからというものでした。確かに民主党政権が継続しても、他の野党が政権を取っても景気は良くなりそうにないので、それはその通りなんだろうなと思いました。
実際に年末年始の株価の動きや、円安の動向を見ても、安倍内閣に対する市況の期待は高そうです。また年末年始の株価の動向は何となく80年代末のバブルの時代を思わせます。
実際にはどういう経済情勢になれば、有権者は納得するでしょう。80年代末のバブルの再来を望んでいるのでしょうか。では、それが仮に再来したとして、それは長続きするのでしょうか。また2年位ではじけて、そのあと再び失われた20年が再来したらどうするのでしょうか。長続きしないからバブルと言われる訳で。事の成否の分析は経済専門家の皆さんにお願いするとして、私は日本国の富について考えてみました。
そもそも2013年現在で、日本の国富はどうなっているのでしょうか?国富を測定する指標としてGDP(国内総生産)があります。2012年の日本の名目GDPの推計値はIMF統計によりますと5兆9800億ドルです。アメリカ、中国に次いで世界第3位です。バブルが最高潮に達した1989年の名目GDPは3兆187億ドルでした。何とこの23年の間に日本の名目GDPは2兆8490億ドルも増えているのです。少なくとも名目GDPを指標に見るならば昨年2012年の日本経済は、日本史上最高に豊かな年だったことになります。ちなみに2兆8490億ドルという数字は、名目GDP世界第5位のフランスのGDP2兆7780億ドルを少し超えています。つまりこの20年ほどで日本人はフランス1国の1年分の国富を増やしたことになります。これはかなりすごいことのように思えます。新聞やテレビなどでは、GDPは前年比でどれだけ伸びたかという取り上げ方が多くて、実際の金額でどれだけ日本人が稼いでいるかは余り意識されないような気もします。
それにしても、これほど稼いでいるのに、なぜ平均賃金は上がるどころか低下し、ちっとも景気が良くなったように感じられないのはなぜなのでしょうか。それどころかこの20年は失われた20年とまで言われています。
ここで考えてみるべきは、実際問題として、あとどれだけ稼いだら、景気が良くなったように感じられるのかということです。フランス1国分のGDPを以前より多く稼いでも景気が良くならないのなら、いくら稼いでも無駄なような気もするのです。逆に国富の配分の仕方に問題があるとすると何が問題なのかを考えなくてはなりません。
名目GDPの数値の出典:「世界経済のネタ帳」http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html#ngdpd