臨戦状態の隣国の軍師から、一通の封筒が届いた。
「軍師様!大変です!」
「どうした、何事だ」
「ハッ!敵国の軍師から“暗号書”と書かれた封筒が送られてきました!」
「舐めた真似を……私をこの国随一の軍師と知っての狼藉か……して、その内容は?」
「それが……」
「どうした?早く言え」
「それが、封筒の中には一枚の白紙が入っているだけで……」
「なんだと?」
「これがその暗号書でございます」
「本当に白紙だな……炙り出しではないのか?」
「先ほど試しましたが、何の変化もなく……」
「むむむ……これは私への挑戦状と受け取った。私はこれからこの暗号書の解読のため、自室に籠もる。決して邪魔するなよ」
「ハッ!」
この二日後、隣国による襲撃でこの国は壊滅的打撃を受けた。
敵兵に殺される間際まで解読をしていた軍師は、ようやく暗号書の意味を理解した。