工業団地のはずれにある大衆食堂のお昼どきは
いつも満員御礼の繁盛ぶりだった。
通りすがりに車の中から銀河飯店の看板を見たときは
店の佇まいにそぐわない店名にニヤリとした。
いつも満員御礼の繁盛ぶりだった。
通りすがりに車の中から銀河飯店の看板を見たときは
店の佇まいにそぐわない店名にニヤリとした。
灰色の建材に囲まれた食堂は昔ながらの大衆食堂
そのもので、店の前の広い道路にはハザードをつけた
大型トラックが間隔を開けて数台停まっている。
そのもので、店の前の広い道路にはハザードをつけた
大型トラックが間隔を開けて数台停まっている。
肩で暖簾を分け引き戸に手を掛けたとき
いつもの店主の怒鳴り声が聞こえてきた。
いつもの店主の怒鳴り声が聞こえてきた。
「おまえ何やってんだよ早く皿だせ」
白いダボシャツに鉢巻き姿の細身の店主は
中華鍋を振りながら壁に向かって怒鳴っていた。
中華鍋を振りながら壁に向かって怒鳴っていた。
割烹着をきた奥さんとおぼしき同年配の女性は
無言で店主の横に皿を置く。
無言で店主の横に皿を置く。
名物の焼きそばは麺が2玉はあろうかの大盛で
豚肉と野菜がふんだんに入っている。
豚肉と野菜がふんだんに入っている。
「まったく愚図なんだから、早く持ってけっ」
店主の怒鳴り声に客は驚いた素振りも見せず
平然と食事をし、世間話に興じていた。
女性は従順ともふてぶてしさとも違う独特の
リズムで皿を持ちテーブルの間をすり抜けていく。
リズムで皿を持ちテーブルの間をすり抜けていく。
この食堂の昼どきは相席するのが当たり前のこと、
体格のいいトラックの運ちゃんや工業団地に勤める
油まみれの人と一緒に四角いテーブルを囲む。
体格のいいトラックの運ちゃんや工業団地に勤める
油まみれの人と一緒に四角いテーブルを囲む。
彼等の注文は焼きそばと根菜たっぷりの豚汁に
副采の冷やっこを付けるのが定番にみえた。
豆腐の上にはおかかと白髪ネギが添えられ、
夏~秋は旬の根生姜と味噌がついてくる。
副采の冷やっこを付けるのが定番にみえた。
豆腐の上にはおかかと白髪ネギが添えられ、
夏~秋は旬の根生姜と味噌がついてくる。
運ちゃんは根生姜をぽりぽりかじりながら
半丁の豆腐をあっというまにたいらげた。
この店の繁盛のほどが分かる気がした。
半丁の豆腐をあっというまにたいらげた。
この店の繁盛のほどが分かる気がした。
ぼくは運よく空いていた角の椅子に座り、
ソースの香り豊かな焼きそばを注文した。
量が多くても美味ければ食べられる、完食。
ソースの香り豊かな焼きそばを注文した。
量が多くても美味ければ食べられる、完食。
これがここで食べた最後の焼きそばになった。
銀河食堂と疎遠になったのは味のせいでも
客のガラの悪さでもない。
客のガラの悪さでもない。
ガツンと食べたいときのぼくの定番の店であり
とても気に入っていたが、
ある日の胸が痛い出来事を境に足が遠のいた。
今日は書くネタがないのでショートストーリーにしてみた。
希望があればつづきを書くし、なければこのまま了とします。
希望があればつづきを書くし、なければこのまま了とします。
生きていると、色々な事がある・・と思い返す今日この頃です
辛い事はなるべく忘れるようにしていますが
胸が痛い・・と言うのは微妙に違う気がします
心にしっかり刻まれて、何かの拍子に蘇り
そして、冷えた陽炎のように、心を揺らしますね
続き希望いたします💦
胸が痛いというのはいくら振り払ってもそのシーンが
脳に焼き付いてるということかな...。
ぼくの記憶スタイルがカット写真をパラパラとめくる
ようなものだから消去が難しい。
そこに立つと映画のワンシーンみたいに鮮明に
よみがえって涙腺崩壊なんてことがあるからさ、
自分を守るために避けるしかないってことだね。