浅草は新旧と今昔が混在して違和感がない町。
最新モードの服を売る店の並びに、
母がよく着ていたアッパッパがぶら下がっていた。
いいよな、
最新モードの服を売る店の並びに、
母がよく着ていたアッパッパがぶら下がっていた。
いいよな、
好きだよこういう町。
今朝は股関節がきしんだ。
布団から起き上がったとき、
ファンベルトがキュッと鳴る感じ。
ぐずぐずしてちっとも進まない。
あちこちといっても二部屋しかない
うさぎ小屋をうろちょろする。
仕事で煮詰まったときのクマさんもよう
順序だてた思考ができないのは朝だから
凝縮と弛緩を繰り返す朝だから。
ゴムパチのゴムがぷつんと切れて跳ねて飛んだ。
指に当たって痛かった。
あのミツマタは百日紅の枝を切ってつくった。
それが母にバレてしこたま叱られた。
ゴムパチを作ったことじゃなくて、
百日紅の枝を切ったことを。
口を尖がらしてバランスがだいなしになったと
花が咲く季節のたびに云われた。
百日紅のV字の花の間から見える青い空が消えた。
ゴムパチのゴムが切れたはバチが当たったのだ。
肥後守は今も持っている。
百日紅の枝を削った当時の物じゃないけど、
見るたびにあのころの母が目に浮かぶから
大事に持っている。
母ひとり子ひとりのあのころは、
間違いなくぼくだけの母だった。
珈琲淹れて
現実に戻ろうな
そうだ、
掃除機かけるように云われたんだ。
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