温室効果ガスゼの削減や気候変動に対応するため、農林水産省は12日、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を策定した。
この戦略では、中長期的な観点からカーボンニュートラルなど環境負荷軽減の技術革新を推進し、2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化(排出ゼロ)の実現などの目標を掲げている。
水産においては、温室効果ガス削減に向けた技術開発・普及として「ブルーカーボン」(海洋生態系による炭素貯留)を追求し、海藻類によるCO2吸収・固定(海草・海藻類の藻場CO2吸収源評価手法の開発、藻場拡大技術の開発、増養殖の拡大による利活用促進)を2030年頃までに実現する。また、2040年頃からは漁船の電化(水素燃料電池とリチウムバッテリを動力とする漁船を設計、実証船を開発)の技術開発・普及をめざす。
2050年まで目指す姿と取組方向(目標)として①2030年までに漁獲量を2010年と同程度(444万㌧)に回復②2050年までにニホンウナギ、クロマグロなどの養殖において人工種苗比率100%を実現することに加え、養魚飼料の全量を配合飼料給餌に転換し、天然資源に負荷をかけない持続可能な養殖生産体制の構築を掲げている。
農林水産省は、これらの目標の実現に向けて、調達から生産、加工・流通、消費における関係者の意欲的な取組を引き出すとともに、革新的な技術・生産体系の開発と社会実装に取り組んでいく方針だ。