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道日本海沿岸漁業振興会議、道漁連が道、国に要請

2023-03-08 22:30:42 | ニュース
漁業実態に即した資源管理、有害生物の被害対策
漂流漂着物対策、洋上風力発電の漁業影響調査も

 

 道日本海沿岸漁業振興会議(運営委員長・大石康雄船泊漁協組合長)と道漁連の代表は3月8日、道、道議会、水産庁、道内選出国会議員に「北海道日本海沿岸漁業の振興対策に関する要請書」を手渡し①漁業実態に即した資源管理の実施、②トド等漁業有害生物による被害対策、③北海道日本海沿岸地域の漂流漂着物の対策、④洋上風力発電に係る対応(水産資源への影響調査)について実現を強く求めた。
 要請したのは大石運営委員長をはじめ、佐藤満北るもい漁協組合長(監事)、蝦名修同専務(専門委員長)、和田郁夫石狩湾漁協専務(同副委員長)、湯田博明香深漁協専務(専門委員)、相内宏行増毛漁協専務(同)、吉田茂樹古宇郡漁協専務(同)、富田和幸沙留漁協専務(北見管内専務参事会会長)、菊池元宏道漁副会長、瀧波憲二同常務、山宮望同漁政部長、斉藤要同漁政部次長ら12名。
 道庁を訪れた一行は、まず水産林務部の幹部職員と面談し、大石運営委員長が山口修司部長に要請書を手渡して4項目の要請を行った。これに対し、山口部長は「いずれも重要なものばかりだが、日本海地域の漁業者の高齢化と減少が一番懸念される。安定した水揚げを確保するため、栽培漁業に販売をセットする形で強化したい。新しい資源管理を導入するに当たり、国には地元の意見、実態を踏まえ、運用面で工夫してもらうよう求めたい。トドの関係は国が管理方針を見直す節目に当たっており、具体的な要望を皆さんと相談して国にあげたい。洋上風力発電は温暖化対策のゼロカーボン北海道に全庁あげて取り組んでいる。水産分野でもブルーカーボンに力を入れ、洋上風力発電と共存共栄をさぐり、漁業への影響にもしっかり向かい合う」と述べ、近藤将基水産局長が資源管理、杉西紀元水産基盤整備担当局長が有害生物対策、漂流漂着物対策、矢本諭技監が水産多面的機能発揮事業、経済部の水口伸生環境・エネルギー担当局長が洋上風力発電についての対応を説明した。
 意見交換に入り、佐藤北るもい漁協組合長が「トドの来遊により天売・焼尻島のタコ漁が不振となり、漁業者にとって死活問題となっている」と訴え、来遊状況の把握、実効性のある対策を求めた。次いで、蝦名専務が資源管理と捕食関係をとりあげ「特定の魚種の資源を増大させることで他の魚種が影響を受ける。混獲問題も漁業者の理解は得られていない」と日本海のエビ不漁を例に負のスパイラルを助長する施策の是正を求めた。さらに和田専務は「漂流漂着物は定置網、船揚げ場斜路にも引っ掛り、自治体が処理するのに長時間を要し、流木と漁船の衝突などを含め困っている」と撤去、運搬処理、発生防止を含めた指導を求めた。湯田専務は「ホッケは現状の資源管理、協定、目標数値を盛り込んだ北海道スタイルでやるよう国に認めてほしい」と平成24年から取り組む自主管理の成果を踏まえた対応を求めた。相内専務も「国の資源管理はTACのスケジュールありきの対応に感じてなららないので、道から国に強く申し入れてほしい」と漁業者の納得のいく形での新たな資源管理導入を求めた。富田専務は「ホッケは刺し網、定置などで混獲され、TACが導入されれば操業に支障が出る。混獲の具体的な対策を国に働きかけてほしい」と述べた。吉田専務は「洋上風力発電は漁業への影響が心配されるので、しっかり調査を行ってほしい」と求めた。

 

 このあと一行は土屋俊亮副知事に同様の要請を行い、土屋副知事は「ホッケ資源管理など漁業者の意向を尊重し、北海道の実態に踏まえた資源管理を国に働きかける」と答えた。


 続いて道議会では小畑保則議長、佐藤禎洋水産林務委員長、三好雅道議会自民党・道民会議政策審議委員長と会って要請した。小畑議長は「日本海の漁業は構造的な問題を抱えている。国の新たな資源管理は道議会で意見書を採択した重要な問題であり、本道の実情を踏まえた取り組みを求める道と連携し、国に働きかけを強める」と答えた。三好政策審議会長は「トド、オットセイの被害対策など様々な要望を国に求め、今後の日本海の状況を注視しつつ自民党会派としてしっかり取り組む」、佐藤委員長は「今後5年間の新たな日本海漁業経営安定化方針を策定するが、収入格差を是正し、浜にためになるものとしたい」とした。
 一行はただちに上京し、午後から本道選出国会議員、水産庁を回り、中央要請を展開した。