水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

今月の表紙写真は、盛漁期の日本海ニシン(石狩漁協厚田)です。

2022-03-11 11:41:19 | 月刊水産北海道
 来遊が遅れていた日本海ニシンは2月中旬以降数量がまとまり、小樽と浜益で既に前年実績を上回る好実績となっている。(公社)北海道栽培漁業振興公社では2月16日、今年度放流分の稚魚生産に向けた親魚捕獲作業を厚田港で実施。一層の資源増大に努めている(写真&文 標記者)



広域漁調でクロマグロ遊漁の6月以降の規制決める 小型魚は禁止、大型魚は1人1日当たり1尾まで

2022-03-11 11:35:44 | 系統通信
 日本海・九州西広域漁業調整委員会、太平洋広域漁業調整委員会がそれぞれ7日、8日にWeb会議で開かれ、昨年6月以降、禁止となっている太平洋クロマグロ遊漁について今年6月以降も30kg未満の小型魚は採捕禁止とするが、30kg以上の大型魚は1人1日当たり1尾まで認める委員会指示を決めた。
 委員会指示によると、小型魚の採捕制限は、遊漁者による小型魚の採捕を禁止し、意図せず採捕した場合は直ちに海中に放流する。大型魚の採捕制限は「1人1日当たり1尾を超えて大型魚を保持してはならない。大型魚を保持した者が別の大型魚を採捕した場合は、直ちに海中に放流しなければならない」となっている遊漁者が大型魚を採捕した場合は、重量等を報告する必要があり、従来の報告事項に遊漁船の情報が追加された。委員会会長は、大型魚の採捕が、TAC制度に基づくクロマグロの資源管理の枠組み、遊漁者による資源管理の取り組みに支障を来す恐れがあると認める場合は、期間を定め、遊漁者による大型魚の採捕を禁止する旨、公示する。
 期間の考え方は、全海区における採捕量が6月、7〜8月、9〜10月、11月〜12月の各期間で10㌧を超える恐れがある場合は期間の末日まで採捕を禁止する。また、全海区の令和4年6月1日からの採捕数量の累計が概ね40㌧を超える恐れがある場合は令和5年3月31日まで採捕を禁止する。指示の有効期間は令和4年6月1日から令和5年3月31日まで。

道が太平洋の赤潮対策会議開く ロードマップを作成し「発生以前の生産までに回復」めざす 道総研が発生メカニズムの解明、効率的な監視体制の構築へ

2022-03-11 11:25:58 | ニュース

 赤潮対策に取り組むため道が設置した「道太平洋沿岸漁業被害対策会議」が7日、札幌市第2水産ビル会議室で開かれ、オンライン併用で現段階の被害状況、対策の進捗状況を踏まえ、ロードマップを作成して複数年を要する漁業回復に取り組む方針を確認した。
 土屋俊亮副知事が「被害を受けた漁業者が国の事業を活用して漁場の清掃、放流したウニの生存率確認などを円滑にできるよう地域の要望にきめ細かく対応しながら計画達成のサポートに努めている」と挨拶した。
 さっそく生田泰道水産林務部技監が被害状況と対策の進捗状況を説明した。それによると、2月末現在の漁業被害は81億9千万円で、赤潮の原因となるカレニア・セリフォルミスは2月現在、全地区で未検出となっている。
 2月以降、全道16海域でモニタリングを実施し、月に1回、表層・中層の採水プランクトン量の分析を行い、赤潮発生海域では夏場(7月以降)は週1回、表層・中層・底層のサンプルを採り、分析結果を迅速に浜に提供する。日高〜根室管内漁協の主要沿岸漁場においてダイバーによる調査を、同じく水深30m以深の主要沖合漁場ではROV(水中カメラ)による海底状況の確認と水質、底質を分析。十勝、根室は終了し、日高、釧路は3月中に確認する。こうした調査結果を詳細に分析し、過去の漁獲量などのデータも参考にし、ツブなどの被害額を精査する。
 国の道赤潮対策緊急支援事業(事業規模20億円)のうち環境・生態系保全緊急対策事業は、令和3年度着手分として日高、十勝、釧路管内の7活動組織が漁場環境調査、漁場清掃、種苗を活用した実証、生残ウニの移植を行う計画で1月末までに国への交付申請手続きを行なった。また、日高、十勝、釧路、根室管内の20活動組織は令和4年度着手分として手続きを準備し、3月下旬から国に申請を行う。
 道は、赤潮対策に関するふるさと納税の代理受付を(株)トラストバンクの協力のもとふるさと納税総合サイトを通じて募集し、11月12日〜2月28日までの期間に941件・3,565万円余が集まった。この中には、太陽グループ・東原俊郎社長からの1,600万円の寄付が含まれている。日本空港ビルデング(株)の協力のもと、羽田空港内に道の代理受付をPRする巨大ポスターも掲出し、同社からは道に対し200万円の寄付を受けている。
 経営対策の取り組みは、水産林務部関係で漁業者に対する運転資金融資(道の漁業振興資金の特別資金)を、信漁連が利子補給し実質無利子で3月下旬に11件・3,700万円を融資する予定。
 このあと、道総研水産研究本部の木村稔本部長が水産庁の委託事業で実施する赤潮発生メカニズム解明による発生予察手法開発、新たな赤潮原因プランクトンの水産生物に対する毒性の影響調査について報告した。これらによって効率的な監視体制の構築を図り、赤潮予察により時間的猶予を確保し、被害軽減につなげる。また、有用水産物に対する有害性を解明し、被害発生生物の整理に向けた検証などを行う。この研究は令和4年度も継続するが、3月の年度末で一区切りをつけ「現場に提供できる情報をまとめる」という。
 ロードマップは「赤潮発生以前の漁業生産までに回復」を目標に、令和3年9月から令和7年度までを期間に設定し、状況に応じて「期間の延長や項目の追加など柔軟に対応」する。項目ごとに具体的な取り組み内容と実施期間がわかるよう整理すし、「公共事業による漁場の整備」「被害地域以外とのウニ種苗の需給調整」「ツブ類稚貝放流の取り組みの普及と初期生態の解明」「サケの親魚不足に対応した種卵の需給調整」などが盛り込まれる。5月にはロードマップ素案を作成し、関係機関と調整し、6月には成案をまとめる。
 引き続き、根室振興局、釧路総合振興局、十勝総合振興局、日高振興局から情報提供を受け、佐藤拓也水産林務部長は「早目の情報提供が大切と改めて確認できた。生産回復をはじめ今後も赤潮対策が維持・拡充できるようロードマップを作成し、地域の声をしっかり聞く」と述べ、最後に土屋副知事が「ロードマップを作成し、令和5年度以降の国費予算概算要求に計上してもらえるよう継続的支援を強く求める」と述べ閉会した。