先日、しんぶん赤旗日刊紙に、国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第2室長の阿部彩さんのインタビュー記事が掲載されていました。たまたま、阿部氏の「子どもの貧困」(岩波新書)を読み終えたばかりだったので、実にタイムリーだと驚きました。インタビューの内容は、本の内容が凝縮されているような中身で、とてもよくまとまって読みやすい記事でした。いろんな資料を様々な角度から分析し、社会保障について特に日本は負担がいたずらに重いだけで、社会保障として機能していないこともよくわかる豊かな分析がされていました。以前から、赤旗では貧困率を用いて外国との比較を行っていますが、税などの所得の再分配を行うことによって、外国では貧困率が下がっていますが、日本では逆に貧困率があがるという、逆転現象が起こっているということもはっきりと示されています。つまり、所得の低い人の負担が重くなっているということであり、日本の税制や社会保障費の負担のあり方に大きな問題があるということがよくわかります。とても参考になりました。
なによりも興味深かったのは、子ども政策への問題提起です。少子化対策などにとどまらない、子ども対策という提起の内容は、考え方としてとても参考になりました。特に「保育園が貧困に対する”最初のとりで”としての役割を十分に発揮できるよう、人を増やし、家庭が抱える問題点をいち早く発見して対応できるように政府がバックアップすることももとめられている」と。同感です。公立保育所の民営化という方針は、ベクトルが全く逆に向いています。こどもたち一人一人の成長を、社会全体で支え保障していく、そんな豊かでダイナミックな政策への転換、また政策提起を大いにやっていきたいと思います。