やまじゅん通信 “きょうのヤマ場”

日本共産党前神戸市会議員 山本じゅんじ WEB通信

プラごみ削減へ計画的に取り組め

2021-09-27 | 環境・自然


 プラスチックごみについて質疑を行いました。このプラごみ問題も昨年取り上げ、今年も取り上げました。ことしは特に、すでに策定されている国の「プラスチック資源循環戦略」に加え、6月に「プラスチック資源循環促進法」(プラスチック新法)が制定されました。今後自治体としてもプラスチックごみ対策への積極的な取組を強めることが求められると思います。
深刻化する海洋マイクロプラスチック。もとはといえば大部分は川上である陸上で使用されたプラスチックの不適切な処理に原因の多くがあります。プラスチックは次から次へと生産され、大量消費のなかで、多くが燃やされたり自然界に排出されたりしています。リサイクルされるのはまだごくわずか。ワンウェイ容器もまだまだ大量に出回っている中、減らしていくことが待ったなしの課題です。

 廃棄物については、神戸市では一般廃棄物処理基本計画(2016年3月=以後一廃基本計画と略)がつくられ、毎年、年次レポートも報告されています。この年次レポートがなかなか具体的でとても参考になります。この年次レポートなども活用しながら質疑しました。
 プラごみ削減については、削減計画をつくり計画的に削減をすすめることを提案。一方で、環境局はプラスチック新法が出来たばかりで詳細が明らかになっていないことから、否定はしないものの「まだ(計画を)たてる段階ではない」との姿勢を示しました。
ただ、国の方では資源循環戦略のなかで『累積で25%排出抑制するというようなことだとか,あと,2030年までに容器包装の6割をリユース,リサイクルする』という目標を示しています。スタート時点がどこなのか不明なのでどこまで有効かはわかりませんが、ひとつのマイルストーンとして考えるのもひとつではないか?と求めました。2030年まであと8年余り。国の出方をうかがっているだけでは遅いと言わざるを得ません。

 レジ袋の有料化が始まって1年余り。巷ではかなりマイバッグなども定着してきた感があります。なかには亀岡市のように有料化から踏み込んで「禁止」に踏み切った自治体も出てきています。ただレジ袋はプラスチック全体からみればごくわずか。数%程度ともいわれています。
また「有料化に伴い店頭でレジ袋を受け取らない人が増えた結果、家庭内ではレジ袋の不足が深刻になり、とって付きポリ袋の購入が増えたという実態が浮かび上がります」との記事も。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO68812660U1A200C2000000/
確かに、と思う記事です。
レジ袋の削減は啓発としての意味合いが強いのかな、と率直な感想ですが、もっと抜本的にプラスチックの削減への取り組みが必要です。
 
 自治体単独で取り組めるものというのは限られてきます。じゃあ、そうしたなかで何を取り組むのか、私は2つのことを提案しました。ひとつは一廃基本計画の見直し、もうひとつは事業系ごみにおけるプラスチックの分別です。

 一廃基本計画は策定されて5年が経過。おおむね5年ごとに見直しとうたわれており、社会情勢的にも見直しすべき時期に来ていると思います。なにしろ国の方針すら反映されていないわけですから。しかし、神戸市の答弁は、市の審議会で議論した内容を反映し計画以上のものを取り組んでいくという理念でやっていく、というものでした。
不十分だと思うのですが…。国を待たずに取り組むべきではないでしょうか。

 次は、事業系ごみのプラスチック分別を求めた質疑について取り上げます。



コロナ禍と気候変動 ~気候アクション

2021-09-24 | 地球温暖化

きょうは、グローバル気候アクションの日(Global Day of Climate Action)。
 気候アクションは、2018年にスウェーデンの環境活動家であうるグレタ・トゥーンベリさんの活動をきっかけにひろがった世界な運動、行動(ムーブメント)です。そもそものきっかけとなったのは、温暖化対策の強化を求め、グレタさんがはじめた学校の授業を休んでの国会前での気候ストライキ。スウェーデンの総選挙までの3週間続けることを計画でしたが、選挙が終わった後もスウェーデン政府がパリ協定での約束を実行に移すまで、グレタさんや仲間たちが毎週金曜日に(気候変動)ストライキを続行。

 その後、SNSなどを通じて毎週金曜日の気候変動ストライキが世界中に拡散し、「Fridays for Future」(未来のための金曜日=FFF)として、いまや日本を含む世界の国々で若者を中心に数多くのグループが誕生し、活動が続けられています。
 2019年にははじめて世界いっせいのストライキを実施(世界同時アクション)。日本を含む
125か国2000以上の都市で多くの市民が参加。その後も定期的に開催されています。(日本では、“グローバル気候マーチ”)

 FFF Japanのウエブサイトには「気候変動の被害を特に受けるのは、既存の経済システムによって不平等を受けてきたMAPA (Most Affected People and Areas=最も影響を受ける人々と場所)と呼ばれる人々です。日本はG7の中で唯一石炭火力発電を海外に輸出し、日本の多国籍企業は気候変動を加速させ、MAPAに様々な被害を与えています。私たちはこのような地域間・世代間・性別間の不平等をなくすために以下の事を求めます」として「企業に求める10か条、政府に求める9か条」が示されています。 
経済活動で排出される温室効果ガスを減らすことや 石炭火力発電や原子力発電に対する投融資を止めることなどです。

 脱炭素社会の実現は、私たち一人ひとりの決意と行動にかかっていると同時に、個々人や家庭の努力だけでは、脱炭素はとうてい実現できるものではありません。気候変動で問題なのは、これまでの、そしていまの政治が石炭火力や原発に固執しつづけ、脱炭素の先行きに危機的状況をつくりだしていることです。こうした政治から脱却することが、脱炭素を実現する近道だと思います。

 若い人たちを中心にした運動の広がりは世界でも日本でも。明日に向けた、また未来に向けた力強い脈動を感じます。

気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体のもの

 日本共産党は先日発表した『気候危機を打開する日本共産党の2030戦略』のなかで、「気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体のものです。どちらも根っこにあるのは、目先の利益さえあがればよい、後は野となれ山となれの新自由主義の政治であり、その転換こそが求められています」と指摘。
そのうえで「脱炭素化は、大きな社会経済システムの転換、「システムの移行」を必要とする大改革です。再生可能エネルギーは、将来性豊かな産業であり、地域経済の活性化にもつながる大きな可能性をもっていますが、そこでの雇用が非正規・低賃金労働ということでは、「システム移行」への抵抗も大きくなり、地域経済の活性化どころか、衰退に拍車をかけるものにもなりかねません。脱炭素化のための「システムの移行」は、貧困や格差をただし、国民の暮らしと権利を守るルールある経済社会をめざす、「公正な移行」でなくてはなりません」「気候危機の打開は、貧困と格差の是正と一体に――「公正な移行」として推進してこそ、達成することができます」と主張しています。

(参考)気候危機を打開する日本共産党の2030戦略https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html

 気候変動問題に政府や自治体がどう向き合い取り組んでいくのか、格差や貧困問題は世界的な視点だけでなく国内や地域における視点としても大事な問題です。得にコロナ禍で顕著に現れたのは格差と貧困問題です。仕事が無くなり、日々の暮らしや食事にも事欠くような状況は深刻さを増しています。目の前の問題としても、長期的にも待ったなしの課題。
資本主義の限界とか弊害とか巷で論じられています。社会のありようが問われる今、今秋の衆院選でも神戸市長選挙でも大事な争点だと思います。

神戸市の地球温暖化防止実行計画は見直しを②

2021-09-17 | 地球温暖化


環境保全協定
 神戸市の地球温暖化防止実行計画に関連して、質疑について触れておかなければならない点がもう1点あります。
きのうの記事で、市内事業所との間で交わしている環境保全協定について最後に少しふれました。
この環境保全協定を積極的に活用すべきですし、非常に大事だと思います。
この環境保全協定については、3月現在で109事業所と交わされています。
神戸市のHPには「排出ガス量、排出水量、延床面積、資本金などが一定規模以上の事業所(神戸市民の環境をまもる条例施行規則で定める指定事業所)を有し、かつ、本協定の趣旨にご賛同いただいた、環境保全活動に積極的な事業者と協定を締結してい」るとされています。
 
 この環境保全協定のうち、ある企業との協定内容に目が留まりました。質問でも少し指摘しましたが、本当にどこまで「環境保全活動に積極的な」姿勢なのか、疑問に感じざるを得ませんでした。
たとえば排出されたCO2ですが、「二酸化炭素の回収・有効利用・貯留技術について」として示されています。CCSと言われるものですが、まだ実験段階にすぎず、「国の動向を確認する」というものです。また、国内には安定的に固定できる地盤はありません。さらに二酸化炭素分離回収技術の技術開発ということも示しており、いずれも未確立や実験・研究段階の技術を並べただけのものでした。具体的な取り組みの計画と題しているにもかかわらず、時期も目標もなく希望的観測を示しているにすぎません。
とても無責任です。
しかも問題なのは、こういうきわめてあいまいな内容でありながら、神戸市は「協定内容が遵守されており、特段の措置は必要ない」としていることです。
協定内容を遵守といっても、そもそも協定の内容の水準がこれでいいのか。それをベースに遵守しているといわれても意味がありません。

 だいたい、この事業所が今後直接排出する温室効果ガスの排出量は、神戸市内から排出される温室効果ガス排出量を上回るものです。
こういう神戸市の姿勢でいいのか。神戸市は、少なくとも2050カーボンニュートラルをめざすと宣言したわけで、対応として極めて不十分です。
日本の温室効果ガス排出量の半分は、わずか約130 事業所から排出され、また排出量の3割以上が発電部門から排出されています。
こういうところにもかかわる社会的影響力のある企業であり事業所です。社会的責任をはたすよう、神戸市として強く求めることが必要です。

神戸市の地球温暖化防止実行計画は見直しを①

2021-09-16 | 地球温暖化

 8月31日からはじまった決算議会。
いまは決算特別委員会で各局別の質疑が行われています。
13日は環境局質疑で、昨年の特別委員会について今年も決算で質問しました。

テーマは3つ。地球温暖化防止とプラスチック、アスベストです。

 地球温暖化防止に関しては、昨年同様、神戸市の地球温暖化防止実行計画の見直しを求めました。
昨年は、国の動向を踏まえて考える旨の答弁でした。
その後、最終日に行われた本会議での一般質問で、市長に対して「温室効果ガス排出を実質ゼロを目指す取り組みを」と質しました。
副市長は「2050年CO2実質ゼロを目指して,神戸市としてもできるだけ早い機会に宣言を出すことも含めて,しっかりと取り組んでまいりたい」と答弁。
政府の“実質ゼロ宣言”もあって否定はせず、その後に実質ゼロを目指すとの表明につながりました。

 そういうこともあって、状況もかなり進んでいるなか、もっと踏み込んだ対応で積極的に推進することが必要との思いから、今回も実行計画の見直しを求めたわけです。
答弁は昨年のこととを思うとあまり期待はしていませんでしたが、意外なことにも思ったより前向きな答弁に。
地球温暖化防止実行計画は見直す予定ですでに検討を始めているとの答弁でした。
2030年まであと9年を切っています。それだけに見直した後の内容というのは相当踏み込んだ内容を期待したいところです。

 神戸市の地球温暖化防止実行計画は5年前に作られたもので、パリ協定での合意が反映されていません。
最新の神戸市の発表した温室効果ガスの実績では、すでに市の実行計画で目指した指標をクリア(2013年度比マイナス22%)。昨年からもさらに若干減少しています。
どこを目指して削減を進めていくのか。
実はこの目標をクリアした大きな理由は、17年に神鋼の高炉が廃止になったことによるものです。もしそのまま稼働していればいまだクリアしていない状況が予想されます。
ですからもっと努力が必要であり、IPCCが指摘するように「2030年までに2010年比でマイナス45%削減」を目指して取り組んではどうかとただしました。
単純に神戸市の実績に当てはめて考えてみると、公表された実績の7割に減らさなければなりません。
ただ、これはあくまでも神戸市の実績をもとにしているので、より大胆に取り組むことが必要ではないかと思います。
いまのままでは、2050年温室効果ガス実質ゼロは不可能。

 市内事業所との間で交わしている環境保全協定についても、市は積極的に働きかけているようです。
事業所の自主目標であっても、それを大幅に引き上げることで多くを排出している事業所に積極的役割を果たしてもらうことも大事です。

「読書」欄、気に入ってます

2021-09-06 | 日記・エッセイ・コラム

 きのうのしんぶん赤旗「読書」欄。この紙面は毎回楽しみにしている。現代社会の深部を表現した小説や、心が洗われるほどの感動を呼び起こすような作品まで、様々な分野の方が様々なジャンルの作品を紹介している。
書評を読んで、読みたいと思った小説を見つけると近所の書店で入手することも多い。
この紹介欄で出会った作家の本がもっと読みたくなって、図書館にも探しに行ったりもする。
 きのうの記事で注目したのは本ではなく紹介者。歌人で細胞生物学者の永田和宏京大名誉教授。
何年か前のことだが、たまたま本屋で手に取ったのが永田氏の新書「知の体力」だった。
どう言えばいいのかわからないが、本を読み終えて、学問について深い畏れのようなものを感じた記憶がある。以来、ヒントを求めて時々読み返している。
 物事の捉え方、考え方、生き方などなど様々な力をもらっている。
情報が氾濫する社会だからこそ、思考することがいかに重要なのかよく理解できる。
氏は読書をすることや学問をすることについて「自分がそれまで何も知らない存在であったことを初めて知るそこに意味があるのだと思う」と記している。
 知らないことに触れたとき、新たな探究心が芽生えてくる、私はそんな瞬間がたまらなく好きである。