11月は過労死等防止月間。先日、市内でシンポジウムが開かれ参加してきました。
過労死問題は、以前から関わりがあり毎年参加させていただいてきましたが、昨年は日程が合わず2年ぶりの参加となりました。
今年の基調報告は、主に東京で活躍するNPO法人「POSSE」の代表、今野晴貴さん。若者の労働相談をはじめ多彩な活動やそれに基づく情報発信など、いろいろ以前からその活動に注目してきました。
報告の内容はとても納得のできるものでした。最近の労働をとりまく様々な職場状況のもとでおこっていることが過労死の要因のひとつであることがいろんな角度からしめされました。
なかでも注目したのが2つ。精神的圧迫を戦略的に行使する解雇戦術、また鬱病を意図的に引き起こす労務管理の戦術といった内容です。これらの報告には思い当たるふしもありました。最近お受けした労働相談で、相談者の方からお聞きした内容ややり方がそのまま報告の中で紹介されていたからです。
その方の相談は無事解決して、職場復帰を勝ち取りましたが、まさに同様のやり方で追い込まれつつあった状況がありました。
今野氏の報告では、鬱病に追い込むよう指南し、「万が一本人が自殺したとしても鬱の原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくこと」といった悪質なサイトまで(削除されているようですが)あるとのことで、あまりもの悪質さに…というか、人を人として思わず、むしろ人の命を軽んじるような考え方があることに、あらためて怒りを感じた次第です。
そのほか、兵庫労働局の方からの報告や残業をなくす取り組みを実践している企業さんからの報告、ご家族を過労死でなくされた方からの報告もありました。非常に濃い内容で、認識を深めることができました。
過労死問題は、兵庫労働局の報告を聞いていてもなかなか進んでいない現状があることがよくわかります。減ってはきているものの、週60時間以上働いている方は、週40時間以上就労する雇用者全体の9%にものぼります。月換算では80時間以上。過労死ラインを超えて働いている方が、実に1割近くもあるということです。しかし、氷山の一角では?とも感じます。
過労死はなくさなければなりません。最近は副業を推進する動きなども見られますが、ますます過労死を生む土壌が強化されてしまうのではないか、と危惧しています。過労死はまさに人災。
企業の働かせ方に厳しい規制をかけ、過労死を一掃すること。これは政治の大きな責任と思います。