北欧スウェーデンの生き方をエッセイで伝えます。
「今回は、スウェーデン人の名前」
スウェーデンで一番多い苗字はAndersson。人口1023万人弱のうちの23万人の苗字である。
以下、Eriksson, Gustafsson, Johansson, Karlsson, Larsson, Nilsson, Olsson, Persson, Pettersson, Svensson と続く。お気付きのとおり、最後にsonがつく。sonのつかない名前では、17位にようやっとLindbergが登場する。
というのも、スウェーデン人に苗字が義務付けられたのは、かなり最近のことなのだ。それまでは、江戸時代の庶民と同じように、権兵衛とか与作とか名前だけの場合も多かった。それで、人の名前を認識するのに、父親の名前を基準にしていた。父親の名前の後に息子を意味するsonという単語をつけたのである。
つまり、ヨハンの子供のニルスは「ニルス・ヨハンソン」ということになる。そして、ニルスの子供のペーターは「ペーター・ニルソン」代々、苗字に当たるところが変わっていくわけですね。うーん。混乱しそう。
当然、女の子には、娘を意味するdoterがつく。ニルスの娘のアナは、「アナ・ニルスドッテル」。兄弟でも男と女では、苗字?が違っていた。
さらに200年ほど前、戦争にあたって兵隊を管理する必要があった時、苗字のない兵士に、軍隊が勝手に苗字をつけた。そうしないと、山ほどのエリクやカールがいて、区別がつかないからであった。あくまで、便宜上つけているので、有名な軍人や将校の苗字が、多く利用された。強そうに見えるからである。
その後(1901年)、苗字が義務付けられるに従って、娘でも息子でもsonという語尾に統一された。そして、代々変化しない恒久的な苗字とすることに決まったのである。
面白いことに、さすが、個人主義の国。苗字が気に入らない場合、役所に届け出て、登録料を払うと変更することができる。ただし、その場合、ごく少数の人々が使っている特殊な苗字を使う時は、あらかじめ、その苗字の人の許可を得なければいけない。そして、常識上、受け入れがたい名前は、受付を拒否される。
スウェーデンでも「悪魔くん」という名前は、拒否されるだろうとは、知人の弁。「ブルーベリーちゃん」というのも拒否されたのだそうだ。可愛いと思うけどね。
多い名前ベスト10
女性
Maria (約45万人)
Elisabeth
Anna
Kristina
Margareta
Eva
Linnea
Karin
Birgitta
Marie
男性
Karl (約34万人)
Erik
Lars
Anders
Per
Mikael
Johan
Olof
Nils
Jan
2019年の新生児名前のベストテンは以下の通り。
女の子
Alice
Olivia
Astrid
Maja
Vera
Ebba
Ella
Wilma
Alma
男の子
Lucas
Liam
William
Elias
Noah
Hugo
Oliver
Oscar
Adam
お子様にスウェーデンテイストを加味されたい方は、ご参考になさってくださいませ。
ちなみに私は五人のクリスチナと三人のエバと友達です。
そして、友達の半分以上が上の名前の中にいるかも。
欧米人には、ミドルネームをもっている人が多い。スウェーデン人も多くの人がミドルネームを持っている。そして、それは、多くの場合、キリスト教の聖者の名前をもらうことになる。例えば、アウグストとかイザベラとか。
名前カレンダーを見ると、365日のそれぞれに聖者の名前が書いてある。12月31日はシルベスター。私の誕生日の1月5日はハナ。
それを、命名日などと呼ぶ。そして、誕生日以外に、ミドルネームの聖者の日には命名日のお祝いをする。
つまり、カッレ・インゲボルグ・ニルソン君は、誕生日以外に、5月28日のインゲボルグの日にもプレゼントをもらえるわけですね。いいなあ。
誕生日と命名日を同じ日にされた子は、お気の毒。1回しか祝ってもらえない。
さて、私がいた年のスウェーデン第3位の大都市マルモ市で生まれた赤ちゃんの中で一番多い名前は・・・?
なんと、ムハメッド君だとか。イスラム圏の赤ちゃんには、ムハメッドが一番人気の名前で、移民の多いマルモ市では、スウェーデン名のエリク君やカール君より集中したのでした。
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