北欧スウェーデンの生き方、楽しみ方、生活・・・面白くつたえられたらいいな
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で、長いです。覚悟して読んでね
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スウェーデンのホテルは、週末や夏は安くなることが多い。なぜか。ホテルはビジネスパースンのものだからだ。
機能が麻痺するほど休暇をとる人が多い夏休みには、利用者が激減してしまう。では、休暇はどこでとるのか。
平均的スウェーデン人の休暇は年に5〜6週間である。
スウェーデン人の休暇の取り方は、概ね次のとおりである。
- 5週間のうち4週間は夏にとる
- 1週間は冬にとって、多くはスキーに行く(だからスキー休暇とも呼ばれる)
- 病気は無給になっても、しっかり病気休暇でとる。でも、減給された分の80%(ただし上限あり)は社会保障で補われる。
夏の休暇の過ごし方には大きく分けて4通りある。
- ただひたすら、自宅でゆっくりする
- パッケージツアーなどを利用して、外国に滞在して、ひたすらゆっくりする
- サマーハウスに行き、ただひたすらゆっくりする
- キャラバンを引っ張って、田舎のキャンプサイトに行き、ただひたすらゆっくりする
つまり、いる場所は違っても、ひたすらゆっくりするために使う。
スウェーデン人の平均年収は、今、少し下がり気味だが、490000ドルほど。この20年で約倍になっている。参考までに、日本人の平均年収は400000ドルだ。(OECD2020年のデータによる)
ただし、各種税金がスウェーデンの方が高いことを考えると、各家庭で自由になる経済はスウェーデンの方が少ないかもしれない。
ちなみに物価は、食べ物や生活必需品はスウェーデンが圧倒的に安いが、ホテルや本、衣料品、外食などは、高い。そして、その2020年度で比較すると世界幸福度ランキングは、スウェーデン7位、日本24位である。
さて、スウェーデン人は、質実剛健な生き方をして、1年間貯金したお金の大半を休暇に注ぎ込む。教育や老後にお金がかからないからだ。
スウェーデンの小説を読んでいるとサマーハウスがよく出てくる。都市に住むスウェーデン人の多くはサマーハウスを持っている。冬が長いので、夏の間に覆いっきり太陽に接しておこくという自然の欲求なのかもしれない。また、2件目の家を持つと税金が優遇されるので、サマーハウスを持ちやすいということもあるだろう。
持っていない人は、サマーハウスを借りる。もしくは、キャラバンで移動して、簡易サマーハウスを気に入ったキャンプサイトに作ってしまう。
中には、外国に持っている人(ギリシャとかスペインとかね9もいるが、大抵は、自宅からそう遠くない風光明媚なところだ。
ストックホルムから3時間の距離にあるダーラナ地方はサマーハウスがたくさんある。人口16000人のレクサンドというシリアン湖岸の街は、夏の間3倍にふくらあがる。
賃貸のサマーハウスで、1週間5万円程度。大きさは30平米ぐらい。もちろん、大きなサマーハウスになればもっと高い。でも、ホテル代とは比較にならないでしょ。リビング、ベッドルーム、キッチン(食器、鍋を含む)、トイレ、シャワーあたりが、標準装備。外用の椅子テーブル、テラスもほぼ標準装備。電子レンジ、サウナがあるところもある。
ただし、シーツ、枕カバー、タオルは持参。
そして、サマーハウスでいかに過ごすか。そう。ただひたすらのんびり過ごすのである。
スウェーデン人の知人のサマーハウスに遊びに行った時、海岸から砂だらけの足で、家の中に上がっていった。家の中も砂だらけだった。
私が、自分の子供たちの足の汚れをきにしていると、
「いいの、いいの、サマーハウスだから」という。
借りている家だと大胆な使い方をするのね。と思ったらそういうわけではないらしい。のんびりするための休暇なのに、部屋を掃除したり、料理に手をかけたりしていたら、休暇にならないと考えているのだ。そして、休暇中、思いっきりのんびりしたら、最後の1日は徹底的に掃除をして帰るのである。
私も、限られたスウェーデン滞在だから、掃除をしたり、料理に手をかけていたら大切な時間が勿体無い。最後の1日に、徹底的に掃除をするから、今は許して……と思ったが、そういうわけにはいかなかった。
さて、我が家もスウェーデン風にダーラナのサマーハウスを借りてみた。2週間で65000円。ほぼ、標準装備だが、目の前が湖。庭続きに住んでいるオーナーがボートやカヌーも自由に使わせてくれて、ヘラジカ料理をご馳走してくれたりと親切。
英語が不自由なオーナーとスウェーデン語が不自由な我々との会話は、ともすると後が続かなかったりするのだが、それでも有効的な気持ちだけは通じ合ったし……よしとしよう。
同じところに2週間滞在すると言ったら、日本人の知人に「木になっちゃうよ」と言われた。ヨーロッパ人の間では、日本式旅行というのは、1週間に四ヶ国回る……というようなハードなものというイメージがあるようだ。
そういえば、日本に住んでいたことのあるスウェーデン人がこう言っていた。
「夏にね、海岸に行ったの。まだ誰もいなくて、我が家が一番に場所を決めたの。そうしたら、後から来る日本人たちは、すごく広くていくらでも場所を選べるにも関わらず、人の側から場所をとっていくんだね。スウェーデン人だったら、なるべく他の人のいないところを選ぶのに」
休暇というのは、賑やかなところへ出掛けていって観光するものという日本人と、人のいないところへ行ってのんびりするものというスウェーデン人との違いかな。
キャビンを借りない人は、キャラバンでキャンプ場に出かける。統計によると旅行者の4割はキャンプ場を利用している。ドイツやオランダからキャラバンを引っ張ってくる外国からの旅行者も多い。そして、気に入ったキャンプ場に定住する。キャラバンの脇にキャラバンと同じサイズのテントをつけリビングルームを作る。
外用のテーブルも用意する。あっという間に、立派な住居が出来上がる。鉢植えの花を並べたり、吊ったりして飾るのは、もう当たり前。人によっては表札や外灯まで用意してある。
夏の休暇にかける意気込みがこんなところからも伝わってくる。
嗚呼、しかし……意気込みだけでは、夏を十分に楽しむことはできないのだ。
その年のスウェーデンは、春のバカ陽気の後7月はすっかり寒くなってしまった。おまけに一夏分の雨が1日で降るというような異常気象。
我が家もダーラナで2回ぬかるみにはまって車が動かなくなった。
しかし、例の如く優しいスウェーデン人が、困ったときには、さっと寄って来て助けてくれる。
その時も二人の巨漢が、車を押してくれた。子供と私は、少しでも軽くするために車を降りて遠くで見守る。
しかし、顔を赤くして押してくれるのに、タイヤは空回りして、泥を跳ね上げるばかり。
二人の巨漢の全身も泥はねで、覆われている。
一人が、運転席の窓までやってきて、何やら夫にアドバイス。すると、車はようやくぬかるみから抜けたのだった。
「なんて言ってたの?」
「いや、車をのぞいて、すぐ、サイドブレーキは降ろした方がいいねって・・・・・・・・」