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「ハロウィーンの思い出」です。
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11月1日はオールセインツ(all saints’day, alla helgons dag),
つまり、聖者が勢揃いで、この世にやってくる日です。
それで、魔物たちは、聖者が来る前に、慌ててひと暴れするのが、10月31日。
すなわちハロウィーン(Halloween)。
アメリカ人の知人が言うには、
「イースターなんかは、年によって、日が変わるけど、ハロウィーンは毎年必ず、10月31日」なのだそうです。
日本でも、この時期、目鼻口を切り抜いたかぼちゃのランタン飾りが一般的になってきました。
渋谷のハロウィーンの馬鹿騒ぎは毎年ニュース沙汰。
大昔、学生時代、英会話の授業で、ハロウィーンパーティを真似して、
バケツに浮いたりんごを手を使わず、口で捕まえるというのをやりました。
その時、初めて、ハロウィーンというのを知りました。
隔世の感があります。
アメリカでは、子供たちが、魔物に仮装して、近所の家のドアを叩き
「Trick or Treat」
と声をかけます。
ほとんどの家がtreat、つまり、お小遣いをあげたりおやつをあげたりします。
子供たちに取っては、おいしい1日です。
Trickを選ぶと、家の前で、爆竹をならされたり、トイレットペーパーを生垣に巻き付けられたり・・・といった
いたずらをするようですが、実際はどうなのでしょう。
アメリカ嫌いのイギリス人なのに、こうした、面白そうなことは、すぐに取り入れて、我が家がイギリスにいたときも、
一晩に10人以上の魔物たちがやってきました。
最初の年は、様子が分からなかったので、マースバー(マースというチョコレートバー)を10本買って用意しておきました。
馴染みのない日本人の家なので、待ち焦がれているのに、なかなかドアをノックしてくれる魔物がいません。
こっそり通りをのぞき見ると、結構魔物たちが徘徊しているのに。
まさか、外に出て行って招き入れるわけにもいかず、3歳だった息子とじっと、ドアに精神を集中させていました。
トントン。
ようやっと、最初の魔物登場。
二人連れの男の子でした。
待ってましたとばかりに息子が、マースバーを差し出すと、魔物は、行儀良く、お礼を行って帰って行きました。
ところが、このマースバーというのは、平均以上のtreat(もてなし)だったのです。
通常、ビスケット一枚とか、1ペンス(2円)とかを、あげるものだそうです。
そのおかげで、路上で、魔物たちが情報交換をして、
それ以来、ひっきりなしに、魔物が訪れ、用意した10個はあっという間になくなりました。
仕方ないので、次からは50ペンス硬貨。
50ペンスが切れたら、1ポンド硬貨。
それが切れてからは、さすがに、ドアをあけないことにしました。
金満日本人を不覚にも演じてしまった日でした。
さて、スウェーデンのハロウィーンナイト。
10月に入ってから、子供の誕生会でも、父兄の親睦会でも、やたらと仮装の催しが多くて、
店のショーウィンドウもハロウィーンに染まっています。
さぞかし、たくさんの魔物たちが・・・。
と思ったら、とうとう1匹も現れませんでした。
さらに不思議なことに、チラシに11月1日から7日、ハロウィーンバーゲン。
などと載っているではありませんか。
ハロウィーンは過ぎているはずなのに・・・謎です。
この謎は、のちに解決しました。
スウェーデンでは、11月の最初の日曜日を「alla helgons dag」と1953年の休日改革で決めたので、
ハロウィーンはその前日、土曜日、10月31日から11月6日まで、移動する休日なのです。
今年は、偶然にも、カレンダーと「alla helgons dag」が、ピッタリ一致。
実は、もともとスウェーデンでは、11月はじめにallhelognaaftonという、日本で言うところのお盆のような習慣がありました。
その日は、死者の魂が遊びに来ると言う発想です。
日本と同じように、お墓に行って、花を飾ったり、掃除をしたりする伝統的な日です。
それと、輸入物のハロウィーンとが合体して、スウェーデン版ハロウィーンになったようです。
しかも、ハロウィーンにカボチャを飾ったりすること自体、近年のもので、商業的に広められたものとのこと。
でも、楽しいから乗っちゃえというところでしょうか。
ですから、他所の家のドアをノックするところまでは、まだ、成熟していなかったようです。
冬が長いヨーロッパでは、いかにその中で楽しみを見出すかが、かなり重要です。
それで、一番陽の短い12月の終わりに、クリスマスというお楽しみの日を設けたりと、伝統的に気を遣っているわけです。
さて、ハロウィーンの日、近くの教会に足をむけてみました。
きれいに飾られたお墓に、キャンドルが立てられて、きれいでした。
スウェーデンでは、死ぬと、共同墓地、教会のお墓の他に、決められた地域の海に散骨するという方法も選べるのだそうです。
地下水のことがあるので、死体を庭に埋めたりすることは(たとえ犬でも)いけないとのこと。
実は、夏に、知人のお母さんが亡くなりました。
知人というのは、わたしの高校以来のスウェーデン人のペンフレンドです。
我が家がスウェーデンに越して来て、初めてリアルに対面したのでした。夫曰く
「知り合った頃は、少女だったのに、会ってみたら、おばさんになっているわけね」
ふん、余計なお世話。
そして、その後、彼女の実家にもお伺いしてお目にかかったお母様でした。
スウェーデン語しか理解しない彼女と、
スウェーデン語がわからないわたしとでは、
十分な意思疎通ができたとは言いかねますが、
日本から届いたわたしの手紙を、学校から帰ってきた娘に渡していた人だと思うと、なぜかしみじみと親近感が湧いてくるひと時でした。
今度は、我が家へ、ぜひ。とお誘いしていた矢先の突然の死。
朝起きたら、亡くなっていたとか。
ペンフレンド曰く
「苦しまなかったと思うよ」
とはいえ72歳は、若い。
村の教会で行われたお葬式に参列しました。
一応持ってきた、喪服用の黒いワンピースで出かけると、なんと、黒い服は、わたしだけでした。
家族も含めて、みんな、よそ行き風ではありますが、普通の服で参列していたのです。
もちろん派手な色はありません。
それでも、緑とか、茶色とか・・・。
お葬式は黒というわたしの常識は、日本での常識だったのですね。
一輪ずつ花を持ち寄り、順番に、棺の上に置きました。
牧師さんのお話も、個人を偲ぶ内容のスピーチで、あまり形式ばっていないのが、良いお見送りの儀式になっていて、心動かされました。
お葬式の後は、会場をかえて、立食式の茶話会で、個人を偲ぶとのことでしたが、それには出席しませんでした。
こういう時、日本語でもどう言っていいかわからない不調法者なのに、英語じゃ、ソリーしか言えないじゃない。
思うことはいっぱいあってもさ。
というわけで、そのお母様もハロウィーンに天国からちょっと遊びに帰ってきたのではないでしょうか。
例えば、イギリスでも厳格なカトリックの知人は、子供が仮装して出かけるのも許可していませんでしたし、
たとえ、ドアをノックされても絶対に開けないという家庭もあります。
アメリカでも、犯罪が起こりやすい夜のようで(仮装して歩いてもあやしまれないため)この行事を嫌う人もいるようです。
子供の頃、わたしの生まれた遠州地方では、節分の日の夕方、子供たちが大きな袋を持って、近所の家に遊びに行く風習がありました。
座敷で、豆と一緒に殻付きの落花生や、みかんやお菓子を投げてくれるのを拾うのです。
数件まわると、手拭い二つ折りに縫って作った袋は満杯。
それを、2月中、少し出しては食べ、少し食べては数え・・・と楽しみました。
今年は空中で捕まえようとしたら、思うほど取れなかったから、
来年は、足元に落ちたのをかき集める作戦にしようとか・・・考えるのも楽しかった。
なのに、なぜか、今ではすっかり廃れてしまいました。
でも、そういう思い出を持っている自分を幸せだと思います。
だから、このささやかなハロウィーンの夕も、
へんに邪魔されないで、ずっと続くといいなあと思います。
では、皆様 HAPPY HALLOWEEN!!
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