NHK土曜ドラマの「遥かなる絆」を感動して見ていました。
今回放送が終わったので、早速原作の城戸久枝著「あの戦争から遠く離れて-私につながる歴史をたどる旅」を読みました。
テレビドラマも良かったのですが、原作はもっともっと感動しました。
この物語りは、中国残留孤児の親子を描いた実話です。
たった一人で「日本へ帰りたい」という意志を貫き通し、国交が断絶していた時代に自力で中国から日本へ奇跡の帰国を果たした主人公の壮絶な生き様を娘の視点から描いた力作です。
面白くて一気に読み終えてしまいました。
原作では、テレビで描ききれなかった中国の政治や教育の実態、著者の中国留学時の反日体験や中国の家族との絆などがよりリアルに描かれています。
更に満州国軍の軍人であった祖父の生涯を遡る事によって、「あの戦争」から自分に至るまでの歴史を、身近な事実として浮き彫りにしています。
また、中国残留孤児が現在置かれている問題にまできちんと焦点を当てて「忘れている事さえも忘れている」「あの戦争」が今も終わっていないことを伝えてくれます。
ややもすれば重く、偏向的になりがちな主題をニュートラルな立場で淡々と描く著者の姿勢にも感動を覚えます。
よくぞこの壮絶な物語を世に出してくれたという思いと共に、戦争が生んだ語られない小説になっていない多くの物語にまで思いを馳せる事ができました。
改めて「祖国」とは何か「日本人」とは何か「あの戦争」とは何だったのかを考えさせられました。
超オススメの一冊です。
次は著者のお父さん(実際の中国残留孤児)がが書いた城戸幹著「あの戦争から遠く離れて外伝-「孫玉福」39年目の真実」を買ってきて読んでみようと思います。
前回読んだ星野道夫氏の「旅をする木」に続き二打席連続満塁ホームラン!といった感じです。
こんなに良い本に連続して当たることもめったにないなぁV(^0^)。(了)
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