こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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また、流れが・・・

2011-06-09 22:00:30 | 訪問看護、緩和ケア
まるで潮の満ち引きのように、流れが変わる時期があります。
私たちの仕事は、人の出会いと別れの最後の時間に立ち会う仕事でもあります。

いつものように、寄せては返す波のごとく、患者さんとの出会いがあり、そしてこの数日はお別れに向けて潮が引いていく時期でもあるようです。

何年も関わってきた何人かの患者さんの病状が、負の方向へ傾いています。

お別れのサインは、食べられないこと、眠る時間が長いこと。

やがて、あちらとこちらを行き来するように、静かに準備を進めていきます。

患者さんたちは、皆静かに眠りの中に落ちていくようですが、ご家族の思いは様々です。

今まで、一生懸命介護をして、たくさんの思い出を作って頑張ってきたご家族ですから、嫌でも感じる死の足音に、怯えたり必死に抵抗したりする方もいれば、すべてを受け入れてそばで寄り添っているご家族もいます。
誰が良くて誰が悪いはずもなく、みな間もなく訪れる別れを必死で受け止めているのだと思います。

心配なのは、あまりにストイックな愛情を注いでいる場合です。
すべてが介護をすることを中心に回り、自分の身体を顧みることも忘れて寄り添っている姿を見ると、この先もしご家族を失ったとしたら、精神的に深刻なダメージを受けるのではないかと思ってしまいます。

たぶん、ここ数日ろくに睡眠もとっていないのではないかと思われ、ずっとお母さんを抱きかかえるように過ごしている姿に、言葉を失ってしまいます。

でも・・
これは、あくまで私の感覚なので、それをしないことの方が、ストレスと感じる場合もあるのでしょうね。

先日、看護学生さんがその方にインタビューをしたときの会話を、担当ナースが教えてくれました。

学生「ずっと介護をされてきて、いろいろ大変だと思いますが、何が一番大変ですか?」
娘さん「?大変って?」
学生「え、あの、皆さん介護されている方は、排泄のお世話や食事のお世話など、とても大変だと聞いているので・・」
娘さん「ああ、そういうこと?でも、私大変だと思ったことないから・・」

なるほど。と感心しました。
彼女は、別に無理をしているわけでも、格好つけているわけでもなく、いつも同じようにお母さんの介護をされていましたし、ご主人もそれを応援してくれる優しい旦那様なので、全身全霊という感じで介護をしています。

はたから見て、そんなに必死に介護をして、もう少し上手に手を抜けばいいのにと思っても、それは違うんですよね。

そんな彼女からの頻回の緊急コールは、よほど心配なのだと思います。

今週末は、要注意者が多いので、緊急当番も覚悟を決めているようです。

流れは大きく変わり、そしてつぎつぎと引いていきます。

今週は、まだまだ変化がありそうです。

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