こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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褥創について(エアマットのお話も少し)

2011-04-26 22:03:23 | 訪問看護、緩和ケア
以前は、とんでもなく大きい褥創をよく見ましたが、最近は本当に少なくなりました。
出来ても小さかったり、浅かったりで皮下膿瘍を形成するほどの褥創はめったに見なくなりました。

介護保険のおかげで、エアマットが誰にでも利用できるようになり、そのエアマットも日々進化しています。
今や、高機能タイプのエアマットは、いかに高機能で安価で使いやすいかというところで、各社しのぎを削っています。

そういえば、今回の計画停電騒ぎでエアマットの問題もいろいろ出てきました。
一番恐れていた<エアが抜けてしまう>という恐怖は、ほとんど解消されました。

地震後、各社から一斉にエアマットの対応方法がFAXで送られてきましたが、昨日の横浜市訪問看護連絡協議会の臨時集会で、メーカーさんからの説明があり、再確認しました。

モルテンのエアマット:アドバン、グランデ、ステージア、プライムに関しては、そのままでも3時間ぐらいならほとんどエアは抜けません。
心配なら、エアマットの送気用のホースを折りたたんんで、マスキングテープなどでしっかり固定します。
停電終了後にテープを取れば、自動的に設定してあるモードに自然に戻ります。

ちなみに、グランデは停電と共に自動的にバリヤーされ、そのままの状態でキープされます。
停電が終われば、そのまま通常に戻るすぐれものです。
注意したいのは、エアマットの底ずきが心配で、エアマットの下に布団を敷いたりすると、ただでさえぶ厚いエアマットがさらに高くなり、サイドレール(ベット柵)の位置が低くなりすぎて、転落の危険性が出てしまいます。

またケープのエアマットも、すぐに抜けることはありませんが、停電後再作動するときに、設定が初期設定に戻ってしまいます。
再度、体重やモードの設定をし直す必要があります。



そういえば、病院では褥創作ると減算されるようになり、ケチケチしてエアマットを使ってくれなかった病院も、エアマットを常備するようになったのも良かったですね。
なにしろ、在宅でピカピカのお尻だった人でも、入院で褥創作ったり悪化させたりするケースが後を絶たなかったですから。

・・と言う事もありますが、とにかくエアマットのおかげで飛躍的に褥創は減りました。

脱線ばかりしていますが本題にもどると、今回は久しぶりにかなりの褥創。

今回の震災で被災され、娘さんが連れてきて介護することとなりました。
連れてきて見てびっくり!
すごい床ずれが出来ていたため、すぐに往診医が決まり、その日の午後うちに訪問看護の依頼があり、写真を見て即皮膚科医に連絡し、その日の夕方にはデブリをしたという、スピード介入となりました。
随分長いこと我慢していたのでしょう。
円背のため、仙骨よりもっと上の部分ですが、すでに黒色壊死組織で蓋をされ、さらにその下もブヨブヨと怪しい感じが・・。
左大転子もかなり炎症の強い黄色組織がべっとり・・。
まず、第一回目のデブリ。
でもあまり痛がらず、血も出ない。これは広範囲にそしてかなり深く壊死しているからです。

栄養のアセスメント、オムツ交換の方法、回数、清潔の指導、環境の調整、本人の苦痛の緩和、ご家族の介護負担の軽減なども、あっというまに整っていきました。
なんというか、このおばあちゃんがあまりに可愛くて、関係者一同もうメロメロの骨抜き状態で、みんなの熱の入り具合はすごいものがありました。
そして、なにより娘さんの愛情たっぷりの介護でご飯もたくさん食べてくれます。

エアマットでの除圧、適切な医療処置、毎日の洗浄、現在はユーパスタとモイスキンパット、テープはかぶれにくく柔らかいスキナゲート、清潔なオムツ、入浴などなど・・
なんだか、気持ちよく環境も整いましたが、数日後に発熱、炎症の増強があり、皮膚科医に連絡し、すぐに訪問となりました。
在宅の主治医もかけつけ、皮膚科のM先生がデブリをすると、皮下膿瘍から排膿が。
「これだ!!」今度は痛がります。
臀部と大転子からの排膿、そして今度はかなり痛みが強い様子。
「頑張って、あと少し!」
そして、きれいに不良肉芽は掃除されました。
抗生剤と鎮痛剤も処方され、今は大分改善中です。
創周囲の炎症もとれ、ピンクの肉芽もみえてきて、よかった~。

これからの目標は、外でお花見です。
きっとこれはすぐにかないそうです。

故郷から遠く離れた場所ですが、おばあちゃんがもう一度元気に故郷を見ることが出来ますように、みんなで応援したいと思います。

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