こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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連携のお仕事

2013-04-20 23:15:19 | 訪問看護、緩和ケア
訪問看護が最も大切にし、良い関係性を保ちたいと願うのが、連携室のスタッフです。
病院の連携室、相談室はもちろんのこと、クリニックの窓口になる看護師や事務さんなどもそうです。

患者さんを受ける時の情報交換や、その患者さんを継続して見ていく中で、なにか変化が起きたり問題が起きたりした時には、医師とのあいだに入って、ともに最良の方法を考え、医師に報告し、その結果の指示を再びこちらに伝えてもらう。
だからスタッフたちは、訪問からもどると電話やFAXやメールなどで豆に報告したり、お薬の処方をお願いしたりしています。

その際、相手にどう伝えたらちゃんと伝わるか、事実関係が正確に医師に伝わり、必要とする答えをもらえるかを考えながら伝えます。

お互い多忙で、たくさんの患者さんを抱える中で、タイムリーな情報交換や指示の受け渡しを、顔の見えない状態でやり取りすることが多いので、いろいろな問題も起こってきます。

直接医師に確認するのが一番いいのですが、往診に回っている医師や、病院の中で動いている医師を、そうそううまくキャッチできないのも実情です。

だからこそ、伝える時にはトラブルにならないよう気を使うのです。

うちのスッタッフにせよ私にせよ、言い回し一つで相手を怒らせてしまうことだってありえるわけで、過去には言葉一つで関係がぎくしゃくしてしまうことだってありました。
そうなると、一番困るのは患者さんですから、ここは十分気を使いながら、相手に不快にならないような言い回しで、なにか問題があっても事実確認をしながら話を持っていく必要があります。

ある日、連携先から電話がありました。
あたらしく連携先に入った看護師からの電話です。
病状の悪化気味のAさんを、輸血のために病院に入院する手配が整ったことを告げる電話でした。
Aさんは自律の強い方で、どこでどんな治療をするか、どんな薬を飲むかなど全てご自分で決める方です。
病院で出された薬をたくさん飲んでいて、今回新たに出された在宅医からの薬と合わせ、かなりの量を自分で管理していました。
しかし、病状が進むことで強い吐き気に断続的に襲われ、一時は内服を飲めなくなっていました。
ある日、薬を飲むのがかなり辛く、薬はいらないというAさんに対し、訪問看護師は緩和の薬と抗生剤だけをセットしました。
担当の訪問看護師は、そのことを連携先に報告し、たくさんある薬を飲み切れないこと、とりあえず2種類だけセットしてきたので、これからの内服を考えて欲しいことを報告しました。

前日には、吐き気が強いために出してもらった座薬も、一度は妻に指導しながら使用したりもしました。
当日は、座薬は本人が希望せずに入れていないことも、きちんと記録に書いてありました。

そのため、連携先の看護師に私は「分かりました。それでは今度退院するときには、いままでご本人管理で飲み方もよくわからなったお薬を、こちらでも確認できるようにしていきたいと思います。大事なお薬をずっと飲んでいなかったこともお聞きしました。
また、なかなか吐き気があったりなかったりするので、内服も難しいですね。」と話しました。

するとその看護師は「かねがね不思議だったんですが、なんで訪問看護師さんは、薬をかってに抜いてしまって、コンチンと抗生剤だけセットしだんでしょうね。気持ちが悪いんだから、出ているノバミンまで抜かないで飲ませればいいですよね。勝手に抜いて、そこへんですよね。
それに、座薬出して欲しいって言うから座薬出してあるのに、使いもしないで吐き気がある、あるって、おかしくないですか?
うちの医師から言われませんでした?聞いてません?
ノバミン飲ませないで、気持ち悪いのなんのって言われても云々○×△・・・」

(ーー゛)(ーー゛)・・。

連携先として一番関わりが多いであろう事業所に、かなり好戦的な言い回しで、ろくに話をしたこともない相手に対し、内容も確認せずにこう言い始めました。

もともと、その看護師に対してはスタッフからも「どうもうまく意図が伝わりにくくて・・。」「なんだか違うところにこだわる人ですね。」なんていう話も聞いていましたし、私自身も情報交換の部分で「??」と思うことが以前にもあったので、気分としては決定的に不愉快モードになってしまいました。

ほかにも、「そっちの対応が悪いんじゃないか、おかしなやり方しているんじゃないの?」的な発言に対して、じっと我慢し最後まで聞きました。
「わかりました。担当の看護師に事実関係を確認しますね。あまりそのようなことは考えにくいのですが、そういうことであれば問題なので、スタッフにまず聞いてみます。どちらにせよ、内服の状況を把握しないとダメなことは確かなので、そこはよろしくお願いします。」

私が険しい顔でやりとりする姿を、担当のナースが不安そうに見ていました。

電話を切って、「こんなこと言ってるけど、実際はどう?」と聞くと、訪問時内服を強く拒否されたことや、肺炎の兆候があって抗生剤が出されていたこと、痛みがあることから最低2種類だけ選択したこと、この時は吐き気がなく、座薬も今はいいと言われたこと、もともとレスキューのオキノームで吐き気が強いことなどを確認しました。
さらに、その直後連携先に報告し、これからあとのお薬の管理をお願いしたことも聞きました。
記録にも、全部書かれています。

やっぱり理由はありましたし、ちゃんとなすべき対応はしていました。
報告もし、その後のことはバトンタッチしています。

だいたい、連携先の医師とは、この看護師よりもずっとずっと長いお付き合いをしていますから、吐き気の強い患者さんに経口の内服を無理に続けさせたりしないこともわかっています。
「今、こう言う理由で飲めていないので、あとをよろしくお願いします。」
今まで阿吽の呼吸で伝わったことが、なんでこうなっちゃうんだろうかと、逆に不思議でしょうがないです。
もちろん、医師からはそんなお叱りの電話はかかってきません。

確認後即電話をかけ、「事実はこうなっていますが、こちらの報告後の対応はどうされたんですか?」と言いいました。
彼は「あ、そうですか。わかりました。そういうことならこちらもそのように対応します。」と繰り返すのみ。
「そういうこと」とはどういうことで、「そのように対応する。」とはどのように対応するのか。

事実確認もせずに、連携先を批判するだけして、謝らないんだ・・。

そもそも、連携を担うという仕事の内容をわかっているのか。
ただでさえ、患者さんは医師に見せる顔と、介護者に見せる顔では違うことがままあるのに、その両方を把握してうまくあいだに入れる人でなければ、ますます混乱を招いてしまう・・。

まあ、これからは直接医師に話すか、ほかのスタッフに繋ぐほうがよさそうだなと思いました。
事実と異なる報告で医師に誤解されては困るし、連携関係が保てなくなると困るので。

同じこと疑問に思っても、私ならまずは「お薬のセットが、2種類になっていたのは、どうしてなのか教えてもらえますか?」「吐き気の座薬は使われていますか?」と、やんわり確認することから始めます。
もし、この質問で相手に非があれば、相手先からハッとして謝りますよね。対策も取ると思いますし。
また、かなりパニック状態で、混乱しやすいご家族なのもわかっているので、きちんとそのご家族を把握している人なら、問題点がどこにあるかもわかるはずです。
その部分がわかっていないので、こういう発言を安易にするのだろうな・・とも思いました。

空気感、空気を読む、私感だけでモノを言わない。

これは、連携に限らず大事なことです。

あくまで連携先の一看護師についての話なので、連携先が云々ということではないのということも付け加えます。
(実際かなり躊躇しましたが、あえてここは連携を考える意味で書きました。)

それに、こういうことを自分がしてしまう可能性もあるわけで、自分たちも十分気をつけて話をしないといけないな、と思いました。
いい勉強になったということですね。

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4 コメント

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誤字すいません。 (こぶた部屋の住人)
2013-04-22 09:59:41
のませ他→飲ませた
監視→看護師

反省としては、「全て書面にして記録を残すようにしないとダメだよ。」ということになりました。
ついつい今まで、ツーカーだったので、口頭連絡になりがちです。
全員にそれが通じるはずもなく、ちゃんと書面で!が原則ですね。
返信する
シニアiwami様 (こぶた部屋の住人)
2013-04-22 09:55:50
ありがとうございます。
これからの課題がいっぱいありますが、負けずに頑張ります。
ymmoto先生お久しぶりです!
内服は、実際こちらでも把握できな状況でしたが、とりあえずあるものをセッティングしていたようです。
当日のみ、飲めないということで、とりあえず痛みがでないように、また発熱していたので抗生剤だけはなんとか飲ませ他とのことです。
こちらで中止するとかではなく、ほかの薬も量も、あとはクリニックで対処してくださいとお願いしただけなのです。
あとは、報告を受けたその看護師がどういう報告をしたのか不明ですが、メモをとりながら報告を聞いていた監視が、それすら忘れてこういう電話をかけてきたということに、無性に腹が立ってしまいました。
返信する
教えてくださーい (Yamamoto)
2013-04-22 08:24:57
良いですよぉーこういう記事♪
これって変だよね的な小さなコトって、
意外にも他の人も思っていたりするので、
公に議論したり、各々が考えたりすれば良いと思います♪

トコロデ・・・
医師の指示である処方内容
それを医師の確認無く減量や中止をすることは、
法律的(あくまでも法律的に)に許されるのでしょうか。
処方箋や実際の薬って無機的で何も語らないですよね。
でもその処方には歴史とか意味合いがあって、
この患者さん、なんでか知らないけど痛風の薬を切ると
一気に体調が悪くなるとか経験します。
もちろん痛風発作ではないですし、
まったく科学的ではないのですが、
そんな経験をします。

確かに処方箋は科学的根拠に基づいて処方されるべきだとは思いますが、
そんへんの確認が難しいですよね。
例えばノバミンなんかはオピオイドの初期嘔気を抑えると言われていますが、
元々の抗不安効果で消化器症状だったり不安感を抑えることはよくありますよね。
そういう患者さんにノバミン再開すると、
体調改善することが多いです。

訪問看護師さんが一々薬の減量や中止を
医師に確認することは現実でないことは重々承知していまし、
訪問をお願いしている看護師さんの配慮や対応には、
最大限敬意を払い尊重すべきだと思いやっています。

難しい問題ですね(^^;
返信する
Unknown (シニアiwami)
2013-04-21 17:43:04
はじめまして。
読ませていただきました。
ほんと連携の仕事というのは、難しくて大変だなとと感じました。
患者さんの健康管理に直接関わっているしごとだけに、患者さんの立場にたって、事実関係をよく確認してから対処する必要があるように思います。
私感だけでモノを言うといろんなトラブルを起こしてしまいますね!
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