きのうのユビキタス無線工学は、携帯電話の設計を一回の授業で教えてしまうという予定でしたが、前回の授業のおさらいが結局一時間ぐらいの時間を占めてしまい携帯電話の設計のお話は最後の15分で行うということになってしまいました。
(これは毎年のことで、何度も授業を受けている身としては想定内のことです
)
*まず、昨日の話は近未来の無線がソフトウェア無線に置き換わっていくのではないかということでした。今まで、ハードウェアで行っていたことをデジタル信号に置き換えて低い周波数でパソコンで処理してしまうということです。
*また、最近ではインパルスを使った通信が注目されているとのこと(短いインバルスは周波数スペクトラムが広くなり、情報伝送の容量を大きく出来る)
(例えばUWBなど)
この話のとき、圧電素子で火花を発生して少し離れたところでそれを受信することが出来るという話を学研の大人の科学にある教材で実験してみせていただきました。
*マイクロ波・ミリ波というのがありますが
マイクロ波 300~3GHz
ミリ波 30~300GHz でだいたい定義されており
波長を考えると物理的に考えると単位が逆になっていること.. これはマイクロ波を開発していく上でミリ波などというものが実用になるかどうかわからなかったために呼称を先にマイクロと使ってしまったために起こってしまった現象ではないかと先生がおっしゃられていました。
*今の計画ではアナログTVが2011年に完全停波して全面的にデジタルTVに移行して 今の時点では今 アナログTVで使っているVHFが空いたら車車間通信に使う計画があるようです。ただ、アナログTVが止まるのは2011年です。あと5年ですべてのアナログTVの電波を止めてしまうというのは、いささか乱暴ではないかというようなお話がありました。
(これについては同意見で、今 テレビというのは一家に一台ではなくて一人に一台の世界ですし、それにビデオデッキのチューナーなども含まれます、もし5年後にすべて止めるということであれば、今 売られているテレビはすべて地上波デジタルが受けられて、かつ安価なもので無ければいけないと僕も考えます。また、ゴミ問題環境問題はどう考えているのでしょうか)
*電波というものは300MHzを境に低いほうは大容量を伝送できない性質があり、逆に上のほうは直進性が強くなり、情報容量が大きくなるというようなお話もありました。
(ちなみに、ボクが整備する無線機には150MHz帯、348MHz帯、460MHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯 とあるのですが、その中でも348MHz帯は両方の特性を持っていて面白い伝播をするようです。いじっていてもなかなかフィールドテストは出来ないので残念です。特定小電力無線も同じ周波数帯ですが、さすがに電波が弱すぎてその特性はいまひとつわかりません。)
*コードレス電話の周波数の推移は最初が46~49MHz、次が370MHzぐらい ここまでは回折などをして、電波がしぶとく屋内を届きやすかったのですが、さすがに2.45GHzになって直進性が強くなり階をまたぐと通信が無理な場合が出てくるようです。
(今、現在 ウチでは300MHz帯のアナログのものをIP電話用に使っているのですが
2.45GHzのデジタルのものに交換したいと思っているのですが、この件が気になって踏み切っていません。無線LANが通じているのですから通じるとは思うのですが干渉も心配だったりします。)
*今回 周波数の編成の変更があってNTTから3~6GHzを開放するという話になったとのこと、これはこれで喜ばしいことではあるけれど、すべてを光ファイバー網に頼ってしまった場合に基幹回線に致命的な損傷を受けてしまった場合 復旧がとても困難になることが懸念されるとお話されていました。
(このお話で先生は、阪神淡路大震災のときの話、大手町のケーブル火災のお話をされましたが、ボクが一番 記憶に残っているのは 世田谷のケーブル火災です。これの復旧は一週間では復旧しなかったと記憶しています。便利になる反面、それが駄目になったときの痛手は大きいということだと思います。)
ITS 自立型システム(79GHz)衝突防止レーダーなど
路車間通信(5.8GHz)ETCの発展形(明日、ETCをクルマにつける身として はこれは今一番発展してもらいたいもののひとつです。)
車車間通信(VHF/UHF)電波が回り込むため死角にいる車同士の存在
などを知らせるようなことをやるようです。
情報家電
最初は60GHzを使う予定だったけれどもあまりにも部品の歩留まりが悪くて価格が高くなってしまうために5.2GHzの無線LANを使うことになりそうだそうです。
このあとはアダプティプアンテナ、アダプティプアレイ、コグニティブ無線のことを前回より詳しく説明されました。
コグニティブ無線の考え方を聞いている限りでは、Eスポなどの異常伝播が起きる
アマチュアバンドの50MHz帯などは業務用には利用しにくいから狙われることは無いだろうとたかをくくってきましたが今後この考え方を活用した方法が用いられるようになると、50MHz帯あたりも充分に業務利用の無線にも使える周波数となりうると思いました。
ソフトウェア無線に関しては、周波数を低い周波数に変換することでその殆どの部分をデジタル処理することが出来るようになっていて、今までのハードウェアで設計されていた無線機の概念が大きく変わりそうです。
実際、自分で使っているアマチュア無線機もIFをデジタル信号処理する形になっています。
*で、きのうやる筈であった携帯電話の設計ですが最後の15分ぐらいでその概要をやりましたが、部品そのものが集積化されていて細かい設計は必要なくて組み合わせたときの相性などによって修正を加えていけばいいという ことで要約できる
でしょうか。
*これは無線機の整備をやっていても感じることではありますが、電気的なものは物理的な調整をするものというのは殆どなくて、電子ブロックを組み合わせているような感じです。特に業務用無線機などに関してはその殆どが自然発生的な電気的故障ではなく、物理的に壊れたものを補修するというものが今は殆どですし、調整も専用のジグを使ってパソコンで調整をしてやるというのが10年ぐらい前からの主流になっています。
アマチュア無線機も例外ではなく、どんどんその方向にシフトしてきていて間違った使い方さえしなければ電気的な故障は相当に少なくなってきていると思います。
(この記事は、昨日 行われた 公開科目 ユビキタス無線工学 で根日屋先生がお話されたことを元に私見を加えて書いておりますが、間違いがありましたらご指摘くださいますようお願いいたします。)