『空母いぶき』を観た。
不思議な映画だ。
日本は戦争はしない。そのための武力は持たない。だから軍隊をもたない。だが、自然法として自国を防衛することを誰も妨げることは出来ない。
専守防衛。それを具現化したものが自衛隊。
銃を握り銃口を向けても戦争のためには撃たない。戦争回避のためにだけ撃つ。
だから自衛官は常にギリギリのところで戦うことになる。
そこまでしても自衛隊の存在を認めない自国民がたくさんいる。
自衛軍にしたいという意見もある。
いずれにしても今後自衛隊は自衛隊のままでいられないのかもしれない。
自衛隊員は公務員だ。国家公務員で危険手当が付いているだけだったと思う。
公務員は政治的中立を命じられており、ただ憲法と法によってのみ行動する。
つまり、公務員は為政者の下で働く。そして為政者は政治家であり、政治家を選んでいるのは国民だ。
もし、自衛隊がギリギリの戦いを強いられているということは、国民がそうさせたということになる。
いぶきを含め日本側がその気になれば、敵を全て沈めることもできただろうし、楽だっただろう。だが、相手に報復感情をもたせてしまい、攻撃の理由を作ってしまえば、それは戦争になる。
戦争をすることは出来ない。してはならない。
戦後、軍隊の暴走を防ぐために文民統制が原則とされた。たしかに陸軍の肥大化が第二次大戦に繋がっていった。
だが陸軍の暴走を許したのは、文民だった。
日本で文民統制が上手く機能したことはない。
自衛隊は為政者が間違った判断をすれば、軍隊にもなるしただの壁になってしまうこともある。
自衛隊はグレーなままでいい。
黒白付けてしまうと、偏りができる。