『戦場でワルツを』を観てきた。
一人の男が失った記憶を取り戻すまでの物語。
毎晩、26頭の犬に襲われる夢を見る友人。
彼は、レバノン戦争の時に殺した犬が26頭だと覚えていた。
「君は、そんなことはないか?」と問われた男は、自分に欠けた記憶があることに気付く。
それを求めるために、彼は当時の自分と、その時代を知る人々を訪ねていく。
欠けた記憶の中で、俺はいったい何をしていたのか?
彼は、”サブラ・シャティーラ大虐殺”と呼ばれる事件に突き当たる。
そして、欠けた記憶の最後のピースには、凄惨な事実があることを思い出す。
ほぼ全編、アニメーションを用いたドキュメンタリー作品というのをはじめて見た。
それも当然で、このような作品は極めて珍しいそうだ。
ドキュメンタリーは作り物、とは言っても現実や事実を伝えることを目的とした作品なのだから、本来、実写であることが絶対条件であってもいいはずだ。
だけど、戦争という、ある意味では現実から遠のいてしまった世界を表現するには、実写という表現方法は少し不足だ。
それは、このアニメーションドキュメンタリーという作品を見たから言えることだけれど。
ショパンのワルツに合わせて、兵士が機銃を乱射するシーンが凄く印象的。
美しいけれど、とても残酷。
なぜなら、嘘偽り一切無しに、彼は敵を殺すために踊っている、のだ。
そのシーンだけを観るだけでも価値がある映画だと思う。