『靖国』を観てきた。
靖国神社をめぐる日本や日本人の姿を中国人の監督が描く。
テレビや新聞ではなかなか観ることのできないシーンが観られるし、色んな立場・意見の人がいることがよくわかる。
けれども、その誰もが、なぜか滑稽だ。
たかが神社に行く・行かないでもめる政治家。
先祖の霊の名前が勝手に靖国にまつられて、怒りを顕にする遺族の方々。
アメリカ国旗を掲げるアメリカ人。
君が代斉唱を妨害しようとして、ボコボコにされる青年。
多くを語らず、黙々と靖国刀を作り続けてきた刀鍛冶。
皆、それぞれのそれなりの信念を持って行動しているのだと思う。でも、なんだか、誰かに吹込まれたような演技をしているように見えた。
人類史上、戦争を禁じる法が制定されたことは、これまで一度もない。
ただ、人の心を束縛するような法は、何度となく存在した。
靖国はその2つの事実を抱え込んだまま、今も存在している。